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桃side〜






「しめ…またこんな所で寝て、風邪ひくってば、」








「…んっ、ぁ、しずおかえり…今日も遅かったね、」








「ただいま、…ごめんね?最近、二人の時間を中々作れなくて、」







俺の恋人のしずは、お医者さんで。


何時も忙しそうで、俺の事なんか放ったらかしで。





ちょっとだけ不満はあったけれど、しずはずっとキラキラしてて、それが凄く羨ましかった。







ふわふわと大きな手に頭を撫でられてまた睡魔がやってくる。







「ぁあ、寝るなら寝室にしてよぉ、もぉ、」







なんてちょっとだけ文句を言いながら軽々と俺をお姫様抱っこして寝室へ連れて行ってくれるしず。







そんな何気ない毎日が本当に幸せで。そんな幸せがずっと続くと思ってたんだ。






____________








「しめ、…ごめん、……俺じゃもう治せない、」






ちょっと怠いな、息が切れるな、なんていう程度でしずの病院へ行けば、突然そんな事を言われて。






高校生の時にガンが見つかって、それがちょうど五年後の歳に再発。









進行も凄く早くて、もう手術しても治せないって、しずは涙を零した。







「…もういいよ、俺、手術も治療もしない。」







会議室みたいな所を飛び出して、院内を走る。








「…ちょっと、しめ、落ち着いてって、!」








しずに腕を掴まれて、やっと足を止めた俺の心臓はバクバクと音を立てていて。







「ねぇ、しず、…別れよっか、」








俺の口から飛び出してきたのは、最低な言葉だった。







しずの瞳から、大粒の涙がポロポロと頬を伝って俺の服にシミを作って行く。









とん、少しの力でしずの身体を押せば意外と簡単に離れられて。









そうか、俺らはこんなに脆い関係だったんだな、なんて妙に納得して、しずに背を向けてまた走り出した。

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うらの(プロフ) - 初めまして。作品があまりに素敵で感動しました。随所に心がまっすぐなmtさん心がきれいなmcさんの気持ちが見れてとても心が暖かくなりました。素敵な作品をありがとうございました。 (9月22日 23時) (レス) @page50 id: 188a7a4fbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紗彩 | 作成日時:2022年1月21日 0時

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