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「…変わってないよ、…ケイは、ケイだよ、」
「…ふは、久しぶりに呼ばれた、(笑)」
ココでは誰も俺の事ケイって呼ばないもん。
なんて目の端っこに涙をくっつけたまま笑った海斗。
「…ぁのね、」
少しの沈黙の後。
小さい、本当にちいさい声でこちらを見る海斗。
「…なぁに？」
俺も海斗に釣られて小さい声で返事。
「…ぉれに、おかあさんと、おとうさん、……居なかった、」
「…っ！」
くしゃり、自分の髪の毛を触る海斗。
「……おれ、ばぁちゃんに、嘘、つかれてたみたい、」
そんな悲しい顔で笑わないでよ。
「…笑うなよ、……悲しいなら泣けって、」
表情と心情がちぐはぐだった海斗の顔がくしゃりと歪んだ。
「おれも、…かいとに、黙ってた事あって、」
「…ぇ？」
本当はずっと黙っていよう、なんて思ってたんだけど。
海斗が、ここまで話してくれたのに、俺が話さないなんていう選択肢はもう無くなって。
「…あの、さ、…コレ、」
覚悟を決めて、着ているTシャツの裾をグッと捲った。
「…は、それっ……」
お母さんに殴られた時に出来たたくさんの赤黒くなった青あざをみて、ギョッとした顔を見せる海斗。
「…お母さん、…全然良い人じゃなかった。誰も助けてくれなくって、さ。海斗と離れ離れになってから、おれ、ずっと、……ずっと辛くって、…っ、ひゅ、」
息がどんどん出来なくなって、心も身体も苦しくって。
平衡感覚が保て無くなって、思わずしゃがみ込んでしまう。
「…げんた、…ちょっと待ってて、絶対戻ってくるから、」
焦ったような彼の声が微睡んだ世界からはっきりと聞こえてきて。
「…ぃやだ、ふっ、はぁっ、……ぃかないで、かいと、いやだっ、！」
苦しい呼吸の間に必死に海斗に呼び掛けたけれど、そんな思い虚しく独りになってしまった。
「…どこにも、ぃかないでよ、……かいと、」
こぼれた涙は、ノートエトランジュの床に溶け込むようにして何処かへ消えていった。
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うらの(プロフ) - 初めまして。作品があまりに素敵で感動しました。随所に心がまっすぐなmtさん心がきれいなmcさんの気持ちが見れてとても心が暖かくなりました。素敵な作品をありがとうございました。 (9月22日 23時) (
レス) @page50 id: 188a7a4fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紗彩 | 作成日時：2022年1月21日 0時
