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ノートエトランジュで眠っている海斗を見つめていれば、海斗がゆっくりと目を覚ました。
「…げん、た、」
「…かいと、あのね?________」
しめに会いに行ってしずさんの話を聞いたことを話せば、悲しそうに眉を八の字に曲げる海斗。
「俺が、元太に会いたいって、言った時に、“絶対ダメ、俺らはウツシオミとは関わっちゃダメ。忘れられるべき存在なんだから”って言われて、」
「…そんなこと、」
言葉に詰まってしまった俺に海斗が笑いかける。
「…ないとは言いきれないよね、だってシメの話し聞いたらさ、やっぱり俺も元太に逢いたいって思ってるのが、自分のエゴなような気がしてきて…」
「そんな事ないっ、!」
「…!」
「そんな事…言わないでよ、……おれ、ずっと、ずっと海斗に逢いたかったの、」
「…元太、」
「…シメにね?“元太をココに呼んだこと、間違ってないよ”って海斗に伝えてって言われたんだ。それは、俺も本当にその通りだと思う、」
「…っ、」
「…でも、シメがしずさんの事をココに呼ばないっていう選択をしているのも間違ってない、って言いたい、」
「…うん、そうだよね、」
「………でもっ、!」
俺は、俺は。
「…海斗に、またこうして逢えてさ、マジで良かった、と思ってる、」
海斗の顔が滲んで歪んでいく。
海斗もポロリ、と涙を零した。
「…だから、すっげぇお節介かも知れないけど、俺、シメに、しずさんと逢って欲しいんだ、」
「げんた、…昔から本当に変わってないね、俺は、変わってばっかだ、」
悲しそうに言ったその声は、ゆっくりとノートエトランジュの音の中に消えていった。
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うらの(プロフ) - 初めまして。作品があまりに素敵で感動しました。随所に心がまっすぐなmtさん心がきれいなmcさんの気持ちが見れてとても心が暖かくなりました。素敵な作品をありがとうございました。 (9月22日 23時) (レス) @page50 id: 188a7a4fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗彩 | 作成日時:2022年1月21日 0時