Note étranger ページ12
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「…ココが、ノートエトランジュ、」
ノートエトランジュに入った瞬間、ハッピーエトランジュとは違った、落ち着く匂いがフワッと香った。
ノートエトランジュの床は虹色で、五月蝿く見えても可笑しくない筈なのに、なんだか落ち着く雰囲気があって。
♪♪_________♪
「なんの音…?」
「ノートエトランジュっていう所はね?音楽の世界なんだ、」
「…へぇ、だから海斗が…」
海斗は、あの頃から歌う事が大好きで。
いつも施設の端っこにあった埃の被ったギターを使って色んな歌を教えてくれた。
「…っ、」
涙が溢れそうになってきたのを必死に堪える為に上を見上げれば、流れに逆らうようにして涙が溢れた。
“会いたいと思う気持ちが募っていく”
ノエルと歩き続けて、懐かしいギターと共に聞こえてきたのは、これまた懐かしい声。
「…かいと、の、声がする、」
「あ、本当だ…マツク!」
聞こえていたギターの音が止んで、金髪の彼がこちらを向く。
「……………げん、た?」
少し大人っぽくなったけれど、驚いてている顔はやっぱり海斗のままで。
「…かいと、久しぶり、」
俺が、海斗に触れようとした途端、ノエルが慌てた様子で俺を止めた。
「元太、ごめん、俺が言い忘れてたんだけど________」
“ウツシオミとココの住民たちは触れてはいけない決まりなんだ”
悲しそうにそう言ったノエルは目を伏せた。
「…もし、触ったら、」
「その場で強制送還、」
そう言えば、海斗が言っていた気がする。
「…確かココに来れるのって一度だけだったよね?」
「…そうだよ、だから、海斗と元太は、元太が死ぬまで逢えないって事になる。」
「…危な、もう少しで強制送還だった…」
「…まぁ、触れられなくても、折角会えた訳だし色々と二人で話しなよ。…じゃあ、俺、スノーエトランジュに戻るから、何かあったらまたおいで?」
さっきから言葉を発していない海斗を見れば、膝から崩れ落ちるようにしてポロポロと涙を零していて。
ノエルがノートエトランジュを出てから、俺は海斗の傍に座り込んだ。
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うらの(プロフ) - 初めまして。作品があまりに素敵で感動しました。随所に心がまっすぐなmtさん心がきれいなmcさんの気持ちが見れてとても心が暖かくなりました。素敵な作品をありがとうございました。 (9月22日 23時) (レス) @page50 id: 188a7a4fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗彩 | 作成日時:2022年1月21日 0時