＊されたいお年頃【黒 尾 鉄 朗】

お年頃。25 ページ25

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「…まぁ、好きじゃないって言い続けてよ。そしたら俺が君を＊す必要なんてないじゃん」

「…自分から言ったことですよね？」

「わかってる」



伏し目がちに笑う黒尾さんは、どこか元気がない。

彼の気持ちが読めない、何を考えているのかわからない。



「…貴方なんて嫌いです」

「知ってる」

「めちゃくちゃ、嫌いです。勝手に踏み込んで、訳のわからないこと言って…」



嫌い、大っ嫌いもう本当に嫌い。

そうやってからかうところも、何を言っても怒らないところも、私を見捨てないところも


嫌いだ。



「…俺はAちゃん好きだけどね」

「やめて、」

「むしろAちゃん、俺じゃなきゃダメなんじゃない？」



私の手を取りそう笑う顔は、いつもと違う。

馬鹿にしたような顔でもなく、呆れたような顔でもなく…



「な……に、言ってんですか」

「…ほんと、何言ってんのかね」

「妹としてしか見れないんでしょ、」

「妹の手握るほど飢えてねぇよ」

「私の好きとは、別なくせに…」

「へぇ、俺のこと好きなんだ」



ニヤリと私を見る顔は、いつもと同じ。


“愛されるよりも殺されたい派なんで”


…こんな言葉、言ったっけ。

まさか逆転する日が来るなんて。



「…で、Aちゃんはどうしたい？どうされたい？」



黒尾さんのその問いかけに、小さく口を開く。



「私、は……







殺されるよりも……愛されたい、」

その後の話。→←お年頃。24

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