＊されたいお年頃【黒 尾 鉄 朗】

お年頃。17 ページ17

なぜか怒鳴られたけど彼女は怒っていないらしい。

滅茶苦茶矛盾してるけどこれ以上言って教室に戻られたら困る。



「あの子には悪いけど、付き合わないかな」

「…え」

「だって俺と両想いにならないとAちゃん死ねないんだぜ？」

「…それは、」

「まぁ＊さなくていいってなるならそれはそれでいいんだけど」



時間とともに減っていく弁当。

一方、Aちゃんが食べているパンはなかなか減らない。

さっきの子が来てからなかなか手をつけようとしないのだ。



「…それとも、付き合って欲しかった？」

「…別に、私には関係ないことなので」

「えー、ありありだろ。Aちゃんの生死かかってんだぜ。てか唐揚げいる？」

「唐揚げ…」



わかりやすく目を輝かせるAちゃんを見て、思わず目を丸くした。

それに気づいたのだろう、ハッとした顔をした彼女はわかりやすく目をそらす。



「い、要りません」

「へー、本当にいいの？」

「しつこいですよ」

「ほれ、口開けて」



箸でつまんだソレを口元へと持っていけば数秒ソレを見つめた後、渋々といったように食べた。

なんだ、案外可愛いところがあるじゃないか。



「おいしい？」

「…どーも」

「間接キスしちゃったねー」

「やめてください」



ニヤニヤしながら彼女を見れば、真っ赤な顔で肩を殴られた。

お年頃。18→←お年頃。16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す