No.26 赤色とシャープペンシル【リク】 ページ27
〆．
好きな人に、彼女がいた。
直接見てはいないものの、幸せそうに惚気話をする彼を見てしまっては、
もう諦めるしか道が残されていないだろう。
涙をこらえることができなかった帰り道。
失恋ってこんなにつらいんだ。
少し大人になった気がした。
「……それでな？俺の彼女な？」
翌日も、重岡くんは彼の友人である藤井くんに彼女さんの話を聞かせていた。
藤井くんは心底めんどくさそうな顔で適当に相槌を打っている。
「あっ！Aちゃんおはよー！」
「おはよ、重岡くん。藤井くん」
「ああ、やっと来た救世主。俺の代わりにしげの惚気話聞いたってや」
「え……と」
どんな嫌がらせ？
とはいえ断るのも申し訳ない。
頷き、彼の前に立った。
「Aちゃんには俺の彼女の話したことなかったやんな！写真あるから見て！」
「うん…」
きっと可愛い子なんだろうな。
明るいとか、清楚とか……
嫌な気持ちで、向けられた画面を覗いた。
「……………は？」
「可愛ええやろ！名前は『Aちゃんから貰ったシャープペンシル』、Aって呼んでんねん！」
「いや、確かに前に誕生日プレゼントとして贈ったけど……」
「最高っ！スタイルええし握り心地ええし……」
「…………重岡くんの彼女って、シャーペンなの？」
「せやけど？」
あれ。
なんだろう、このやるせない感じ。
まさかの恋敵が物、私が贈った筆記用具。
失恋？いや違う。
もっととんでもないことが起こったような……。
「馴れ初め聞いてくれる？」
「ああ、うん」
魂抜けそう。
なんだ、シャーペンを彼女と言ってる人に馴れ初め聞かされるこの時間は。
「出逢いは俺の誕生日。俺はこの子を一生大事にするって決めてん」
「ああ、ありがとう」
プレゼントしたの私だもんね、これはお礼言っとこう。
「もちろんビジュアルも俺好みやったし、0.4mmやし、何より……」
「ビジュアルはともかくとして、芯の太さにこだわりあったんだね」
「俺の好きな子が、プレゼントしてくれたから」
「へ……っ」
一瞬胸が高鳴るも、この人には彼女がいるんだ。
「彼女と別れてAちゃんと付き合いたい！」
「そんなすぐに彼女捨てる人と付き合いたくない」
「言うてシャーペンやん！？」
「重岡くんがそれ言うの……？」
〆．
No.27 桃色へ告白…の続き【リク】→←No.25 緑色の歯ブラシ【リク】
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ユニコ(プロフ) - ありがとうございました！ めっちゃ完璧で良かったです (2019年12月8日 15時) (
レス) id: d962cdde80 (このIDを非表示/違反報告)
アイオライト - No29-31をリクエストした者です！最高でした、特に31は兄弟設定がベストオブベストでした…ありがとうございました！これからも応援させていただきます…！ (2019年12月2日 19時) (レス) id: dcdc3602ad (このIDを非表示/違反報告)
のら - はゆなさん、いつも読んでいます！更新、とても楽しみです＾＾ (2019年11月15日 11時) (レス) id: 1a62da02fe (このIDを非表示/違反報告)
はゆな(プロフ) - うらぬす。さん» ええええ！うらぬす。様！コメントも、読んでいただけてることも嬉しすぎて泣きそうです……ありがとうございます！そして勝手にお名前出しちゃってすみませんでした。私もうらぬす。様を応援し、更新楽しみにしておりますので…！ (2019年11月10日 15時) (レス) id: 0477dc60f8 (このIDを非表示/違反報告)
うらぬす。(プロフ) - いつも作品読ませていただきます…！オススメされてると聞いてすっ飛んできました(*´-`)まさかいつも読んでるはゆなさんから読んでいただいてると知らずお恥ずかしい限りです…！これからも影ながら応援させていただきます！ (2019年11月10日 14時) (レス) id: 3c9d0a7e5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はゆな
| 作成日時：2019年10月21日 18時
