No.25 緑色の歯ブラシ【リク】 ページ26
〆．
私の髪と、彼の衣服のボタンが絡まった。
なかなか解けず、私は彼にハサミを手渡す。
彼はそのハサミで、ボタンの糸を切った……
…………なんて某有名なエピソード、あるわけなく。
「遠慮なく切ったね、智洋くん？」
「Aの髪の毛ちょうど欲しかったんよ」
「何に使うんだろう……いや、人の髪の毛ちょうど欲しいタイミングっていつ？」
「今！！新しい歯ブラシ求めてた」
「聞き間違いであってほしいんだけど、まさかね」
さすがに髪の毛は返してもらっても困るので、もう彼の好きにさせようと思う。
「まあ、私が変に察しただけかもしれないし。私の髪を歯ブラシに使うとは一言も言ってないもんね」
「え？当たり前に使っ…」
「言ってないもんね？？」
「う、美味い」
「なんでこの流れで私の髪を食べてるのかわかんないや。切った方食べてくれない？いや食べないでくれない？」
聞いてないなこいつ。
私の髪を糸ようじか何かと信じ込んでるのではないだろうか。
「やっぱ歯磨きにはAの毛」
「やっぱって何？前科があるみたいな言い方だね」
「Aの、しかも髪の毛やないと」
「ほう。そんなに私の髪の毛がいいの？」
「そらなぁ」
「他の人とどう違うの？」
「たつかたたんか」
「歯磨きに性的な興奮覚えないでほしいな」
智洋くんってば笑顔でこわいこと言うんだから。
「でも最初に戻るけど、何の躊躇もなく髪の毛切るのは酷いんじゃない？」
「これからは少し遠慮してる風を装います」
「そういうことじゃなくてね？」
なんで私は彼氏に対して子どもをあやすかのように言葉を選んでるんだ。
ストレートに言わなきゃ伝わらない。
「智洋くん。常識とか法律とか関係ない。私が嫌なの。髪の毛切られるのも、それを歯ブラシとして加工されるのも。お願い、やめて」
「え、何その顔そそる」
「聞いてた？」
もう手遅れなのかもしれない。
呆れてため息を吐く。
「………智洋くんは、私じゃなくて、私の髪の毛を愛してるんだね。もういい」
「は？何言うてるん？Aのこと愛してるから、全部全部愛してるから、髪の毛までも愛おしく感じんねんで」
「普通ならきゅんとするセリフをありがとう。既に歯ブラシに加工完了しててびっくり、仕事はやいね」
「よお言われるわ」
なんでこんなやつと数年後には結婚してしまうことになるのか
未来の自分に問いつめてやりたい。
〆．
No.26 赤色とシャープペンシル【リク】→←No.24 続き、彼目線
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ユニコ(プロフ) - ありがとうございました！ めっちゃ完璧で良かったです (2019年12月8日 15時) (
レス) id: d962cdde80 (このIDを非表示/違反報告)
アイオライト - No29-31をリクエストした者です！最高でした、特に31は兄弟設定がベストオブベストでした…ありがとうございました！これからも応援させていただきます…！ (2019年12月2日 19時) (レス) id: dcdc3602ad (このIDを非表示/違反報告)
のら - はゆなさん、いつも読んでいます！更新、とても楽しみです＾＾ (2019年11月15日 11時) (レス) id: 1a62da02fe (このIDを非表示/違反報告)
はゆな(プロフ) - うらぬす。さん» ええええ！うらぬす。様！コメントも、読んでいただけてることも嬉しすぎて泣きそうです……ありがとうございます！そして勝手にお名前出しちゃってすみませんでした。私もうらぬす。様を応援し、更新楽しみにしておりますので…！ (2019年11月10日 15時) (レス) id: 0477dc60f8 (このIDを非表示/違反報告)
うらぬす。(プロフ) - いつも作品読ませていただきます…！オススメされてると聞いてすっ飛んできました(*´-`)まさかいつも読んでるはゆなさんから読んでいただいてると知らずお恥ずかしい限りです…！これからも影ながら応援させていただきます！ (2019年11月10日 14時) (レス) id: 3c9d0a7e5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はゆな
| 作成日時：2019年10月21日 18時
