【銀魂】浅き夢見じ、酔ひもせず【土方十四郎】 (ページ21)

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『浅き夢に酔いしれて』 20話ページ21

俺はAの部屋へ行った。

机の上にはアイツのかんざしと写真が飾ってある。

この写真は…Aが真選組に入ってきた日に

屯所の桜の木の下でみんなで撮った写真だ。

そういえばAのやつ、最後に

『また…桜の…綺麗な季節に』

とか言ってやがった。

俺らの出会いは桜が満開の日だった。

また桜が咲く季節になればAに会えるんだろ

うか。

あり得ねェ話だが、俺はその日が来るまで生きてェ

と思った。

しかしその瞬間俺の頭は真っ白になり意識が飛んで

しまった。

俺が目を覚ますとそこは病院のベッドの上だった。

山崎「副長ッ！？大丈夫ですか！？」

山崎が心配そうにこちらを見ていた。

土方「…山崎か。」

「なァ、俺はなんで倒れちまったんだ？」

山崎「覚えて…ないんですか？」

土方「あ？」

確か…急に頭が真っ白になってぶっ倒れたんじゃな

かったか？

山崎「Aちゃんが斬られた所を見てしまって

放心状態だった所を敵にやられてしまったんです

よ。」

は？何言ってやがる。俺はあの後屯所に帰ったはず

だ。それに…

土方「俺は、Aの葬式の日に倒れたんじゃね

ェのか？」

山崎「何言ってるんですかッ、副長！」

「葬式なんてやってないですよ！」

土方「……は？」

山崎「だってAちゃん、死んでないです

し」

俺は言葉を失った。Aが……生きてるだと？

「副長、全然目を覚まさないから心配しましたよ」

土方「…Aは本当に生きてるのか？」

山崎「はい、生きてますよ？」

「傷は浅くて峰打ちだったみたいです。」

「さすがの高杉でも可愛い弟子は殺せなかったみた

いですねッ！」

俺は勢いよくベッドから降り屯所へ向かって走り出

した。