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食べますか? ページ18

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「玉森、新歓の日佐藤送ってってくれてありがとな」


「…え?あ、いえ…」


「こいつ結構酔ってたけど、ちゃんと帰れたか?」


「はい…まぁ、」





眼鏡の真ん中キュ、って上げながら返事をする玉森くんを横目で見る。

平然と嘘の返事をする彼はなにを考えてるのかわからない。





「まぁ、玉森は真面目だしな。安心して任せられるっつーか…、」


「…ぅぐっ!」


「先輩!?大丈夫ですか!?」


「…ん、…平気っ、」





思わず喉に詰まらせてしまったご飯を水で流し込む。




玉森くんが真面目???

え???

みんなにブラックな玉森くんのこと言いふらしてあげたい。

でもそうすると、あの日の私の失態までもが明らかになってしまう…

あーあーあーーー……





ートン、





ん?




腿らへんに感じた感触に下を見る。




…え??





隣から伸びた手が私の腿に触れていて。

その手の元を辿ると、その先には…





「…た、玉っ…、」





私の腿を触れながら、何食わぬ顔でご飯を口に運ぶ玉森くん。

慌ててその手を払い除けようとすれば、眼鏡越しに鋭い視線が私を捉えて。





「……フッ」





鼻で笑うように口角を上げた玉森くんが私を見つめた。





「…っな…!、」


「佐藤?どうした?」





太輔くんの声に、腿に置かれた手はフッと離れていく。





「なんか先輩、玉森くん睨んでませんか?」


「っえ?…いやあのっ…、玉森くんの定食おいしそうだなぁーって…、」


「ふふっ、食い意地」


「…そ(んなこと)っ…!、」





ははは、って笑う太輔くんに向かって牙を向いた。





「……あの、」


「へっ?」


「…よかったら、食べますか?」


「…」






ポカンな私を他所に、玉森くんは新しい割り箸を割る。

自分のお皿からからあげをひとつつまむと、私のお皿にそれを置いた。





「…どうぞ」


「……あ、ありが…」





お礼を言おうとして口を噤む。

…なんで私がお礼を?

別にいらないんですけどっ…!!





「…いらないんですか?…先輩?」





ニヤ、って私しか見えないくらいに口角を上げて。

眼鏡の淵をクイっと上げた彼が私を見つめた。



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すなぎも - めっちゃ面白いです!!続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年7月25日 21時) (レス) id: ef1e270871 (このIDを非表示/違反報告)
はじめ - 続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年4月4日 14時) (レス) id: e3f41243e4 (このIDを非表示/違反報告)
kumi(プロフ) - 初めから一気読みしました!めっちゃ面白いですね!!ブラック玉ちゃんカッコイイ!!続きが気になりますっ!!! (2016年7月12日 2時) (レス) id: 8cddf2f951 (このIDを非表示/違反報告)
たまま - このお話のたまちゃんすごい好きです! 続きが気になってしょうがないです! 更新楽しみにしてます! (2016年2月18日 19時) (レス) id: 18ff77bab6 (このIDを非表示/違反報告)
はるる - 頑張って下さい! (2016年2月7日 22時) (レス) id: fb87ff9d5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:K | 作成日時:2015年3月10日 21時

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