拐われたお嬢様2 ページ3
父が長女に怒鳴られているとも知らず、三女マーガレットは盗賊たちにもてなされていた。
「やぁ、はじめましてお嬢ちゃん。」
ヒゲモジャの男たちは滅多に見れない若く美しい女に群がった。
「あ…ぇ、えっと…」
マーガレットが戸惑っていると、1人の青年が男たちに近づいた。
「おじさんちょっとどいてくれる?彼女、困ってんじゃん。」
青年がそう言って、マーガレットの肩に手をそっと置いて「なっ」と微笑むと、周りのおじさんたちは膝を折って青年に跪いた。
マーガレットはその情景に目を丸くした。
この若い青年に、その二倍は年老いたおじさんが、ついさっきまで自分に気安く話しかけてきたのに、青年がきたとたんに跪いて固まってしまってのだ。
「わかればよろしい。わかれば。」
マーガレットが唖然としていると、青年はマーガレットを見て言った
「ここはむさ苦しいから、外行こ。」
青年はマーガレットの手を引き、外に出た。
マーガレットはまた目を丸くした。
外に出てみて初めてわかったことだが、どうやらここは砦のようだ。
中は、大きなシャンデリアがぶら下がっていたり、美しい刺繍が施された真っ白なテーブルクロスがあったりして、まるでマーガレットがもといたお城の食堂のような広い空間だった。
しかし外観は、お城とはかけ離れていて、大きな岩山に穴を掘ってつくられたようだった。
すぅっと冷たい風が吹いて、マーガレットの頬を撫でていく。
「今日はちょっと寒いな。」
青年は自分の手にはぁっと息を吹きかけた。
マーガレットもそれを真似した。
「ところでお嬢ちゃん、名前は?」
青年に聞かれ、マーガレットは顔をしかめた。
「あなた、私を誰だか知らずに拐ったの?」
マーガレットの問いに、青年は「ああ。」と落ち着いた声でうなづいた。
「そうだよ。」
何がおかしいの?と言うように首を傾げる青年に、マーガレットは言い返すことが出来ず、
「マーガレット・アルファードよ。」
と素直に答えた。
「マーガレットか。じゃあ、メグだな。」
「メグ?」
「ああ。俺が生まれたところの王女様の名前がマーガレットで、メグ王女って呼ばれて親しまれてたんだ。」
いきなりあだ名をつけられたマーガレットは、王女様と聞いて少し上機嫌になった。
「あなたは?」
メグが聞くと、青年は答えた。
「ルキウス。」
青年の名前を聞いて、メグは面白くなり、笑いだした。
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ばん© - ありがとうございます!更新遅くてすみません… (2017年3月6日 18時) (レス) id: 811eeda3cd (このIDを非表示/違反報告)
つー - すごく面白かったです!! (2017年3月5日 21時) (レス) id: 145d47b14f (このIDを非表示/違反報告)
とまと?(プロフ) - これからも応援してます! (2017年2月23日 21時) (レス) id: 815ca9583d (このIDを非表示/違反報告)
ばん© - みなぎさん» ありがとうございます!!!! (2017年2月23日 21時) (レス) id: 811eeda3cd (このIDを非表示/違反報告)
ばん© - 篠川梨麻さん» 読者さま第1号ですよ!すごくうれしいです、ありがとうございます! (2017年2月23日 21時) (レス) id: 811eeda3cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月嶋あぐり | 作成日時:2017年2月22日 17時