第1話.拐われたお嬢様 ページ2
「ふぅ…うぅーむ…」
あれから10年。
アルファード卿は書斎で長いヒゲを右手で触りながらそわそわしていた。
「まったく…王子はなにをやってるんだか。
自分のフィアンセがさらわれたというとに。
……ああ、私のマーガレット…」
アルファード卿が1番可愛がっている三女のマーガレットが盗賊にさらわれた。
アルファード卿は娘の新しい肖像画の前で祈っていた。
すると、バァン!と勢いよく書斎の扉が開けられた。
「うわぁ!!」
「うわぁ!じゃないでしょお父様!
三女がいなくなったって、困ることないわ。
そもそもどうしてマーガレットを王子と婚約させたの!
普通、婚約は長女の私が1番先でしょ!」
ワインレッドの高そうな布に黒のフリルがついたドレスを着た長女は、父を大声でまくしたてた。
「ああぁ、わかったよレジーナ。
今度は何が欲しいんだい…」
「もうっお父様!
お父様はいつもいつも何が欲しいのか聞いてくださるけど、本当はわかってるんでしょ?
私が今1番欲しいもの。」
気の強い長女レジーナが詰め寄ると、父は呆れたように振り返った。
「王子との婚約はマーガレットが果たしたんだ。
レジーナは賢い上に美しいから、お妃を失われたばかりの王に見初められるも間違いなしだ。
エイブリーはあの愛らしく上品な言葉使いや仕草をマーティン卿に気に入られてる。
2人の未来もそう悪くはないじゃないか。」
「あらそう。私はあんなヨボヨボの爺さんのお妃になるつもりはないけど。
そんな未来御免だわ。
今日のところは新しいドレスをもう1着買ってくれたら許してあげる。
でもエイブリーだって怒ってるんだからね。
覚悟しててよ、お父様。」
そう言ってレジーナはズカズカと書斎を出ていった。
「あぁ…レジーナもおしとやかにしてれば美しい自慢の娘なんだがな…」
アルファード卿はまた、大きなため息をついた。
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ばん© - ありがとうございます!更新遅くてすみません… (2017年3月6日 18時) (レス) id: 811eeda3cd (このIDを非表示/違反報告)
つー - すごく面白かったです!! (2017年3月5日 21時) (レス) id: 145d47b14f (このIDを非表示/違反報告)
とまと?(プロフ) - これからも応援してます! (2017年2月23日 21時) (レス) id: 815ca9583d (このIDを非表示/違反報告)
ばん© - みなぎさん» ありがとうございます!!!! (2017年2月23日 21時) (レス) id: 811eeda3cd (このIDを非表示/違反報告)
ばん© - 篠川梨麻さん» 読者さま第1号ですよ!すごくうれしいです、ありがとうございます! (2017年2月23日 21時) (レス) id: 811eeda3cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月嶋あぐり | 作成日時:2017年2月22日 17時