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11話 ページ12

それから、10年後。

あっという間に月日は過ぎ、私ももう三十路手前となった。


体力の衰え、というのは今のところ感じていないが、それでも日常の至る所で老化を感じる今日この頃。


「真希、もうちょっと腰を低くしてかかってこい。そう、重心を下に置いて。全身を使うんだ」

「こうっ、か?」

「そう、飲み込みが早いね」


まあ、こうして学生に稽古をつけてるときに1番自分の年齢を自覚するのだが。


「はい、下半身だけに集中しない」


重心を下げたせいで私の足元しか見ていない真希の頭に拳を落とす。


「ぃってえ!!」

「ふふ、一旦休憩しようか」

「…おう」


この子は禪院真希。私と同じ天与呪縛によるフィジカルギフテッドの持ち主。
この子の担任である兄さんに頼まれて、こうしてちょくちょく稽古をつけているのだ。

最初は稽古をつけるのは彼女だけという約束だったが、成り行きで他の生徒にもたまに体術を教えている。


「そういえば、新しい一年が入ったんだっけ」

「あー、あいつか…やべえ奴だよ」

「ふふ、いいじゃないか。呪術師は多少イカれてるぐらいが丁度いい」

「いや、そういうことじゃなくて」

「…?どういうことだい?」


新しく入った1年、名前は確か乙骨憂太。
彼に憑いている『特級仮想怨霊祈本里香』が事件を起こし、一時は秘匿死刑が提言されていた…が、兄さんの"ワガママ"で高専に入学させたんだっけ。

なんらかの問題はあると思っていたが、この反応は…?
まるで、私に聞かせたくないかのような…。


「…特級、なんだよ。ソイツ」

「ほう、それはすごい」

「いや、憑いてる方じゃなくて、本人が」

「分かってるよ」

「…Aさんは、未だに2級なのに」


そういうことか。
彼女が言うのを躊躇っていた理由が分かった。

真希は私のことを素直に尊敬してくれているし、慕ってくれている。
私が未だに2級であることに、1番疑問を抱いているのはこの子だろう。


「いいんだよ。…私は呪術も扱えない猿だから」

「っ…術式を持たないと1級認定されないのは呪霊の話だろ!Aさんはもう1級以上の実力を持っているのに…」

「…別に、私が1級になれないからって、真希もそうなれない訳じゃないんだよ。大体、私が1級にならないのは私自身のエゴだ」

「エゴ…?どういうこと

「あっ!おーい、真希!Aさんも!」


真希が質問しかけたとき、パンダくんが遠くから声をかけてきた。
いいタイミングだよ、パンダくん。

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設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2022年2月5日 2時) (レス) @page13 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
葵梗花(プロフ) - 海月さん» いえいえ。執筆頑張って下さいませ! (2021年1月4日 15時) (レス) id: af0a567945 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - 葵梗花さん» 暖かいコメントありがとうございます。執筆の励みになります! (2021年1月4日 9時) (レス) id: af6afc0ff7 (このIDを非表示/違反報告)
葵梗花(プロフ) - コメント失礼致します。これからどうなっていくのかとても楽しみです。夢主の夏油を諦めなければいけない苦しみ、夏油が好きな恋心など読んでいてとても楽しいです。続きがとても楽しみです。夏油さんだけの小説って物凄く少ないので応援しております。 (2021年1月4日 7時) (レス) id: af0a567945 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海月 | 作成日時:2021年1月3日 16時

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