story46 「怪物の疑惑」 ページ47
俺がそういうと二人は驚いたように目を丸くし、互いの顔をみた。
「しないなら、このまま絞める」
俺がギチギチと腕に力を込めると、アッシュとマックスが慌てたように「分かった！」と言った。
俺はその言葉を聞いたと同時に絞めていた手を放し、男を床へと寝かせる。
気絶しているようだけど、死んではいないみたいだ。
よかった。
俺は牢を出て、二人と向かい合った。
「約束だからな！仲直りちゃんとしろよ！また牢を移るとか言ったら本気で怒るからな！」
と頬を膨らましながら二人に言い聞かせた後、俺は監守と共に反省室へと向かった。
〜アッシュside〜
「さっきのは……」
Aの後姿を見つめながら、おっさんが唖然とした表情で言葉を溢す。
俺が名前を呼ぶ前のAの顔は、いつもと違っていた。
まるで別人みたいに。
牢の中で倒れているブルを見ると、殴られた形跡のある場所は何処も急所近く。
そこらの素人じゃ出来ない業だ。
それに一番は、
『A！』
『アッシュ？』
『A！ソイツから手を放せ！』
『マックス……あ、そっか……』
俺達を見て目を伏せたAの顔は、酷く傷ついた表情をしていた。
その後、俺達にいつも通りの腑抜けた笑顔を見せていたが目には微かに涙が溜まっていた。
正当防衛。
でも、それにしてはやりすぎだ。
アイツの性格からじゃ、考えられないくらい容赦がなかった。
「一体、どうなってるんだ」
〜マックスside〜
確かにAは、俺達に仲直りの機会を作ると言って作戦を教えてくれた。
だが、ブルの首を絞めていた時のAはいつものAじゃ無かった気がした。
何か別の、例えるならそう。
【化け物】
という文字が思い浮かぶ程。
それに俺達の呼び声に反応を見せた時の顔が今での脳裏に焼き付いている。
何故か酷く傷ついた顔で、
俺達から逃げる様に視線を逸らした。
最後に見せた笑顔だって、無理してるのは丸分かりだ。
「一体、どうなってんだよ。クソ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沖田さくら(プロフ) - 佐久菜さん» コメントありがとうございます！一気見して下さったんですか？！嬉しいです！楽しんで読んで頂ける様、これからも頑張ります！ (2020年5月2日 9時) (
レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
佐久菜 - めっちゃ面白いです！つい一気読みしてしまいました笑これからも頑張ってください！ (2020年5月2日 6時) (レス) id: e5ff1d5bd2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
