story42 「和解」 ページ43
〜貴方side〜
アッシュを机に押し倒したまま、俺は叫んだ。
考えるよりも先に言葉が溢れる様に漏れてしまった。
言わなくていい事まで言った。
あぁ、最低だ。
これじゃ、アッシュに嫌われても仕方ないじゃないか。
俺は振りかざしていた拳で机を殴り、そのままアッシュに背を向け歩き出した。
もう嫌だ。こんな自分、大っ嫌いだ。
「待てよ」
歩き出す俺の腕を掴んだアッシュが、前へと回り込み道を塞ぐ。
「どけよ」
「それは無理だな。よっと」
「お、おい！降ろせって！」
そして、突然俺の体を抱き上げたアッシュは、そのまま机の上にそっと俺を降ろした。
「A、こっち見てくれよ」
「嫌だ」
「頼むよ、オニイチャン」
「嫌だ」
さっきとは違う優しい手つきで俺の頬に触れたアッシュは、涙を拭いながら悲しそうに笑った。
「ごめん。本当にごめんな」
「……」
「あんなこと言いたかった訳じゃないんだ。ただ……」
少し口ごもった後、アッシュは恥ずかしそうに視線を逸らしながら口を尖らせ呟いた。
「いつも俺の傍に居るAが、ずっとマックスと居るのが気に入らなくて……。」
「え？」
「ようは、カッコ悪いけどマックスに嫉妬したんだよ」
「…嫉妬？」
「Aは俺のなのに……みたいな」
俺の溢れて止まらない涙を拭ってくれるアッシュの手は優しくて、それ以上に俺にくれる言葉が嬉しくて、俺はアッシュの首に腕を回し抱きついた。
「アッシュ！アッシュ！」
「本当にごめん、傷つける事ばっかり言って」
「俺もごめん……胸ぐら掴んだり、叫んだりして……ごめん」
何度も謝りながらアッシュを抱きしめると、まるであやす様に俺の背中をそっと摩ってくれた。
そして暫くしてお互い落ち着いた後、アッシュが悪い笑顔を浮かべながら言った。
「そういえば、Aは俺の考えてること色々分かってたことに驚いたんだが」
「え？あ、あぁ…」
「さっきの話から考えると、今日の態度は英二とのキスが原因だと思ったんだけど、どうなの？オニイチャン」
悪い顔をしてる。
逃げた方がいい。
俺は何も言わず、立ち上がり逃走を図ったが呆気なく捕まり、アッシュの腕の中へとスッポリ入る。
「いや、あれは…ッんん…はぁぁん」
口の中に感じる舌の動きと近くに見えるアッシュの顔。
あ、ダメだ。
そう思った後、俺は静かに意識を手放したのだった。
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沖田さくら(プロフ) - 佐久菜さん» コメントありがとうございます！一気見して下さったんですか？！嬉しいです！楽しんで読んで頂ける様、これからも頑張ります！ (2020年5月2日 9時) (
レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
佐久菜 - めっちゃ面白いです！つい一気読みしてしまいました笑これからも頑張ってください！ (2020年5月2日 6時) (レス) id: e5ff1d5bd2 (このIDを非表示/違反報告)
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