story30 「反省房」 ページ31
〜貴方side〜
俺とアッシュは、運よく同じ反省房へと入れられた。
「此処で少し頭を冷やせ」
そう吐き捨てた監守は、重たい扉を閉じた。
真っ暗な部屋。
此処は何だか居心地が悪い。
嫌いな場所だ。
思い出す、この感じ。
あの屋敷と似てる。
「……A！」
「へ？」
名前を呼ばれ、驚いて顔を上げると焦った様子で俺の肩を掴んでいるアッシュが居た。
「どうした？」
「どうしたじゃねぇよ！大丈夫だったか？」
「え？あぁ、さっきの…‥余裕余裕！巻き込んで悪かったな！」
腰に手を回された所から気持ち悪かったが、流石に下を触られると、気持ち悪いより恐怖の方が勝ってしまって声を出してしまった。
アッシュにこんな怪我までさせて……
「ごめんな、アッシュ」
血が滲む唇に触れ、謝罪の言葉をかける。
助けるはずが、助けて貰ってばかりだ。
他にも怪我をしたところはないか確かめていると、突然アッシュが俺の体を抱きしめた。
「アッシュ？！どうした、気分でも悪いか？あ、もしかして俺が今触ったから！」
「違うよ、そうじゃない」
優しい声が耳の側で聞こえる。
英二と話していた時と同じ声だ。
「無理しなくていい。怖かっただろ」
「え？」
「体震えてる。今は無理して笑わなくていい」
指摘され、俺は自分の手を見て確かめた。
アッシュに触れていた俺の手は小刻みに震えている。
「いや、えっと…‥」
「A？」
俺は、抱きしめてくれていたアッシュを突き放し部屋の隅へと移動した。
「守るとか言いながら、お前に守られてばかりだな。大丈夫。すぐに収まるから、今の俺は見ないでくれ」
気を緩めたら泣いてしまいそうだ。
こんなんじゃ、この先アッシュの力になれない。
強くならないと、もっと強く。
遠くで溜息が聞こえた後、足音がこっちへと近づいてくる。
「A」
「触るな！近づくな！こんな弱い俺を見て欲しくない！お前に嫌われたくない！」
そう言った俺をアッシュは、さっきよりも力強く抱きしめた。
「い、嫌だ！」
「嫌いになったりしないから！嫌いにならないから、拒むなよ」
最後の言葉は、まるですがる様に聞こえて、俺は抵抗するのを止めアッシュに抱き着いた。
その夜、俺はずっとアッシュに抱きしめられながら反省房で一夜を過ごしたのだった。
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沖田さくら(プロフ) - 佐久菜さん» コメントありがとうございます！一気見して下さったんですか？！嬉しいです！楽しんで読んで頂ける様、これからも頑張ります！ (2020年5月2日 9時) (
レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
佐久菜 - めっちゃ面白いです！つい一気読みしてしまいました笑これからも頑張ってください！ (2020年5月2日 6時) (レス) id: e5ff1d5bd2 (このIDを非表示/違反報告)
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