銀魂 真選組の天涯秘蔵 【完】

８３話＊ ページ33

つかつかと近づいて来る男。
その顔には怒りが込められてるように見える。
何に対して怒る？
わたし質問に対してだろうか。
それとも、

「そんなに大事か？

あの女が、義理の兄どもが……


そんなに大事かって聞いたんだよぉ！？」


A「うぐっ…痛ぅ………」

前髪を掴まれ、思い切り後方に飛ばされた。
その勢いで、袖の中にあった眼鏡が割れる音がした。

「てめーの事は何一つ知らねぇって顔だなぁ。

お前はな、真選組なんていちゃいけねぇんだよ！
当たり前だろ⁈
お前は攘夷志士である俺の娘なんだからよ！」


「最初はお前のこともあの女みたいに売り飛ばしてやろうかと思ったが、剣の腕がいいみたいだしな。

お国変えるのに使ってやるよ！」


………。
今、

なんて言った？私が、あんたの娘？


…お母さんを、売り飛ばした？


この、男が？



私の、父親…?が、お母さんを？


私の大切な、血の繋がった人を。

お前、お母さんと所帯を持っていたんじゃないの？

なのに、どうして。


ふつふつと、怒りがこみ上げてくる。
よくも、お母さんに酷いことをしたな


その命で、

返せることだと思うなよ




刀に手をかけ、一気に引き抜いた。
その際、男の首を狙ったつもりが、すんでのところで刀身を躱され、鼻の頭と両頬を結ぶ横一直線に傷が入った。

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