天使で女神な谷崎家の長女2

余裕ある男 ページ37

太宰side

『わ、私と、太宰さんがですか…？』

「そうだよ」

戸惑うように私に尋ねるA。君以外に誰がいるというのか。私は好きでもない相手と出かけるほど暇でも物好きでもないのだよ。

「太宰さん、姉さんに手は出さないでくださいよ！」

「それは約束しかねるね」

谷崎くんが私にそう云うが、もう手遅れだと内心でほくそ笑む。今、彼に実はもう手を出していましたなんて云えばどうなることか。いや、未来の義弟(の予定)に嫌われるようなことはしてはいけないね。ここは黙っているのが一番だ。

まあ、あれは彼女も寝ていたし悪いとは思ったが後悔はしていない。次はちゃんと起きているときにしたいね、うん。

『私でよければお付き合いいたしますよ』

彼女は平然と答えたが、私の心臓はもう周りに聴こえてしまうのではないかというくらいに暴れていた。きっと君は私がこんなにも緊張と安堵をしていることに気づかないのだろう？それでいい。私は君の前ではいつでも余裕のある男でいたいのだから。

彼女とデートができると考えただけでいつもは面倒だと思う仕事だって進んでやった。

それを見て国木田君は「いつもそうすればいいものを」と呆れたように云った。今の私は気分がいいからなにを云われてもなんともない。

そんな気分で仕事をしていたらあっという間に退社時間となった。

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