天使で女神な谷崎家の長女2

迷子の迷子の長女ちゃん ページ23

『ねこさん、ここどこお…？』

公園から姿を消した少女は、小さな猫を抱えて暗い場所にいた

先刻___

クローバーをもらい喜んでいたA。しかしその小さな手に持っていたクローバーを、別の猫が奪って走っていってしまったのだ

『まってねこさん！』

そして猫を追いかけてきた結果、迷子になった

『…ふぇ…』

暗い場所が怖い年頃

そんな彼女が今の状況に耐えられるはずもなく…

『じゅんちゃ…ナオミ、おねぇちゃ…ゆきちゃ…っ…！』

知ってる人の名前を呼んでいく

しかし、誰もそこには来てくれなかった

さらに涙があふれて、ポタポタと、雫がアスファルトに落ちていく

そんなときだ

「A！！」

彼女の名前を呼ぶ声が聞こえる

『おさむにいちゃぁ…！！』

そう、それは先程Aが呼んだ男…太宰治だった

自分の知る人が現れたことに安心したのか、すぐに飛びついた

『うわぁぁぁん！』

「怖かったね、もう大丈夫だよ」

『うう…こわかったぁ…っ』

「無事でよかったよ。さあ、帰ろう」

『う、んっ…』

太宰はAを抱き上げる

足元には先程までAが抱いていた猫がいる

「いくら猫でも、Aを泣かせるのは許さないよ」

猫に対して少しの殺気をとばす

すると、猫はビクッとなりその場から去っていった

「さあAちゃん、帰る前に甘い物でも食べようか？元気が出るよ」

『うんっ…』

Aが笑顔でいられるように

そんな思いでそれを口にすると、涙ながらに嬉しそうにした顔がみられる

それに安心したようにふっ、と太宰は笑った

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