Unanswered morning glowy(Daisuke.S) (ページ29)

今日:27 hit、昨日:67 hit、合計:42,633 hit

Unanswered morning glowy(Daisuke.S)２９ページ29

「わたし、大介と付き合うって決めた時
　それなりに覚悟を決めたつもりだったんだけど。
　覚悟が足りなかったみたい。
　大介が隣にいない未来を受け入れる覚悟も、
　……大介と、一緒に幸せになる覚悟も。」

ごめんね、とAが発した涙声は、振り向いた佐久間の胸に涙と一緒に吸い込まれた。

背中から聞こえる、ぽつりぽつりとした告白と嗚咽。
ゆっくりとしたその言葉の重みと、そこにある辛さは
佐久間にも覚えがあるもので。
覚悟が足りなかった、とAが言った瞬間
我慢できずに、振り返ってAごと、謝罪の言葉を抱きしめた。

佐久間の腕の中、しゃくりあげているAの髪を撫でて、ぎゅっと目を閉じる。

「ごめん。こんなに、辛い思いさせて、ごめん。
　俺が気付くべきだったのに、デビュー出来て浮かれてて
　全然気付けなかった。
　ごめん。本当に、ごめん。」

Tシャツの胸元が熱く、濡れてくる感触に佐久間の胸がキシリと痛んで、更に抱き締める腕に力を込めた。

デビュー出来ず、後輩たちに追い抜かれて、未来が不安になる時
佐久間にはメンバーが居て、お互いに励ましあって
折れそうな心をお互いに何とか支えて、ここまで来たこと、忘れていない。
なのに、同じ思いをAがしていることに、全く気付けなかった自分を恥じる。

自分と一緒になって、ただ喜んでくれるAが嬉しくて
自分との関係を周囲に隠している彼女は
誰にも相談できないのだと、考えもしなかった。
そんな自分の甘さと馬鹿さ加減に、反吐が出る。

「A。…A、本当にごめんね。
　Aは、めちゃくちゃ俺のことも考えて、考えて
　出した答えだったのに、こんな風に言わせちゃってごめん。」
少し収まった嗚咽に、髪を撫でる手を背中にそっと移すと
Aは少しだけ佐久間から顔を話して、頭を左右に振った。