Unanswered morning glowy(Daisuke.S) (ページ21)

今日:56 hit、昨日:67 hit、合計:42,662 hit

Unanswered morning glowy(Daisuke.S)２１ページ21

怒鳴ることこそないが、Aの声は強張っていて、佐久間の手を握る手にも力が入っていた。
「今回は、たまたま自販機が背もたれになって
　座り込むみたいに倒れたから、頭もぶつけてないし
　外傷もなかったけど、打ち所が悪かったら、最悪のことだってあるんだよ。
　ねえ、もう舞台に立てなくなってもいいの？」
「それは、やだ。ごめん。
　俺、そんな、考えてなくて。……ごめん。」
「心臓が、止まるかと思った。本気で。」
「うん。」
「寝てるだけだってわかってても
　目が覚めるまで、本当、怖かった。」
「うん…。」
「もう、２度とこんなこと、ならないようにして。」
「うん。気を付ける。」
「それから。」
「うん。」
「気付けなくて、ごめん。
　もっと早く、気付くべきだった。」
「Aのせいじゃないよ。
　本当、普通に元気だと自分でも思ってたし
　A、最近事務所居なかったじゃん。」
「それでも、ごめん。絶対、もっと、何か出来たのに。
　それに、多分。…私のせいでも、あるよね。」

今度は佐久間がAの手を握り返す番で
悔しそうに唇を噛んで俯くAが辛くて
それから愛おしくて、下から顔を覗き込んだ。

「だぁから、違うって。
　Aのせいなら、きっともっと早くにぶっ倒れてるよ。
　なんだかんだ、３ヶ月経ってるし。今更でしょ？
　本当、違うから。単純に俺の管理不足だから。」

だから、泣かないで。

ぽたぽたと、握り合った手に涙を零すAの目元に
そっと唇を寄せて、その涙を拭った。

Aはそのキスを拒否はしなくて
ただ、ただ暫く、静かに泣いていた。