Unanswered morning glowy(Daisuke.S) (ページ8)

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Unanswered morning glowy(Daisuke.S)８ページ8

「俺、すんごいおにぎり食べたい気分なんだよね、今日。」
「え？」
「だから、俺の貰ってきたロケ弁と交換しない？
　和食の弁当だから、Aさんも結構好きだと思うし。」
「いやいやいや、交換しないよ。いや、しないですよ。不等価交換すぎる。」
「えー、でも、俺おにぎり食べたいの。
　最近ロケ弁ばっかりで、おにぎりが恋しいの！
　ね、お願い！あ、スープもあんの？なんのスープ？」
「えっ、ちょ、」
「あ、俺これ好きなやつー！！」

無遠慮にスープジャーを開けた佐久間の目がキラキラと輝いて
そのまま上目遣いにAの顔を見るのは、１００％計算だろう。
Aがこのお願いに弱いことを、佐久間はきちんと分かっているのだ。
最後のダメ押しとばかりに、佐久間は顔の前で両手を合わせて、片目を閉じた。

「お願い。ね？」
「………量、足りないと思いますけど。」
「じゃあ、今一緒に食べて、ロケ弁も少し分けて？
　それなら完璧でしょ！」

どこまで佐久間の計算だったのか。
そんな佐久間の必殺技にAが敵うわけもなく
気付けば、Aの前にはロケ弁が置かれ
おにぎりとスープを自身の前に並べた、にこにこと満面の笑顔の佐久間が居た。

「「いただきまーす。」」

２人両手を合わせて、いただきますをした後
１回顔を見合わせてから、箸を手に取る。

少し前まで日常的にあったこの時間は
気付けば、２か月ぶりに訪れたもので
その懐かしさに少しだけAの胸が痛んだ。

「あ、梅だ！超好きー。」

早速おにぎりに齧り付いた佐久間が
白米の中に覗く赤色に
嬉々とした声を上げて、破顔する。
あまりに大きなその一口に
二口くらいでおにぎり終わっちゃうな、と
Aは佐久間にバレないように笑みを零す。

「スープも美味し～！
　やっぱ、こういう家庭料理みたいなの、良いよね～。」
「組み合わせ的には、イマイチだけどね。」
「えー、そう？俺嫌いじゃないけどな～。
　それに、なんたって、Aさんが作ってくれたっていうのが最高なの。」
「相変わらずお上手なことで。」
「なにそれ、本気で言ってるのに！」
「はいはい。あ、卵焼き食べるよね？
　あ、でも、今日お箸持ってきてないんだった。」

そんな穏やかで懐かしい時間は
Aの口調を自然と以前の柔らかなものへと
引き戻していた。

卵焼き、スプーンでいける？と聞こうとしたAに
佐久間がにやっと笑ってから、かぱっと口を開けた。