Nigella 3 ページ3
Aの横に膝立ちになって、ゲームの画面を一緒に覗くと、ちらりとAの目が一瞬こちらを見て、小さく笑う。
それでもAの手が止まることはなく、画面の中に広がる壁を塗り潰していく。
丁寧さが見て取れるプレイスタイルを暫く眺めていると、今度はどうにもその耳を独占しているイヤホンが気になり始めた。
すぐ隣に居るのに、同じ音を共有出来ないからか、
それともAの音を取られているからか、
ゆらゆらと揺れる細いコードが煩わしく思えて
目の前にあるAの片耳からイヤホンを抜いて
自分の耳にさす。
急に流れ始める聴き馴染みのある音楽とゲーム音、それから驚いたように目を丸くしてこちらを見るAに、自分の機嫌が上昇するのが分かる。
すぐにAの目はゲーム画面に戻ったけれど。
そうこうしてる間に試合は１つ終わって、イヤホンを外したAが、驚きを残した顔でこちらを向く。
「どうしたの？」
「何が？」
「急にイヤホン取るから、びっくりした。」
「Aがゲームやってんの珍しいから、
どんな感じかなーと思って見たくなっただけ。」
自分もイヤホンを外して、そっとゲーム機をAの手から抜いてテーブルに置く。
「ゲームスタイルって性格出んじゃん。」
「やだ、それ。そんな事言われたら
辰哉の前でゲームするの緊張する。」
「今更。」
ソファにきちんと座り直したAの横に笑いながら座ると、ぐぐ、とAが腕を上に伸ばした。
「楽しかった？」
「うん、みんながハマるの分かる気がした。」
「今度、康二達も一緒にやる？」
「いいね、やってみたい。それまでにもっと練習しなきゃ。」
「俺、教えてあげようか。阿部ちゃん程じゃないけど、上手い方だと思うよ。」
体を伸ばしたまま、ソファの背もたれへぱたんと体を倒したAは、ふうと息を吐いた。
「今日はもう終わり？」
そんなAに問えば、不思議そうな顔をした顔で見返される。
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Y.Harumizu(プロフ) - 櫂さん» ありがとうございます^ ^可愛い系の紫様は初めてだったので、笑っていただけたなら、本当に嬉しいです。 (9月18日 22時) (
レス) id: 3d23a8217f (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - ここまで自然に声に出してふっと笑えた作品は初めてかもしれません……！素敵なお話をありがとうございました！ (9月18日 0時) (レス) @page6 id: a2cc3a07ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Y.Harumizu
| 作者ホームページ：http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時：2023年9月13日 17時
