*2−2* ページ5
余興は多い方が良い。
自身の予想通りに踊って貰いたい。
そうピシャリと言い放ったフョードルに女は溜息を吐いた。
そして、やはりお腹が空いていたのだろうか。
握った拳を解いて茶菓子を取り黙々と食べ始めた。
その様子にフョードルはまたくつくつと笑うと、淹れたての紅茶を優雅な手付きで口に運んだ。
「折角、彼が招待状をくれたので僕達も動きましょうか。貴女の事ですから手配は済んでいますね」
「…はい。直ぐにでもヨコハマへ…あの人の元へ行けます」
「宜しい」
含みのある其の笑みに、女はポーカーフェイスを保つものの、茶菓子を持つ手は確かにピクリと反応した。
…自身の思惑通りに動いている事がそんなにも楽しいものなのか。
女は口には出さずに言葉を茶菓子と紅茶と共に飲み込むと、席を立ち、一礼をして部屋を出て行った。
女が部屋を出た後、其の部屋には薄気味悪い笑い声が響いていた。
「ええ、楽しいですよ。楽しすぎる。貴女は…Aは何も知らない。そして“彼”も…全てを知っているようで何も知らない。ヨコハマの彼も、彼らもそれ以外の全ても…何も知らないのです」
僕だけが全てを知っている。
こんなにも楽しい事はないですよ。
___放置されたヨコハマ租界に人影が揺らめく。
歪んだ笑みを浮かべて煌めく其の部屋へと閉じこもる。
後は______宴を待つだけ。
*3−1*始まりを告げるは子龍*→←*2−1*宴を待つは鼠か龍か*
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フェミロ - まろりんさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。只今、番外編&NG集等を作成中です。ご意見頂いた物語も書かせて頂きたいと思います。ありがとうございます。 (2018年4月29日 8時) (レス) id: af47f06155 (このIDを非表示/違反報告)
まろりん - 泣きました( ;∀;)もし番外編の機会があったら死後、彼らの幸せな場面を見てみたいです。フョードルルートも。 (2018年4月14日 0時) (レス) id: 631d19327a (このIDを非表示/違反報告)
フェミロ - Rukaさん» そう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。頑張ります。 (2018年3月29日 8時) (レス) id: a574a862fc (このIDを非表示/違反報告)
Ruka(プロフ) - すごく感動しました!!!次の作品も頑張ってください!! (2018年3月26日 15時) (レス) id: aecad8101e (このIDを非表示/違反報告)
フェミロ - ご指摘ありがとうございます。外し忘れていましたので直しました。ありがとうございます。 (2018年3月15日 22時) (レス) id: af47f06155 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フェミロ | 作成日時:2018年3月15日 21時