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*21−3* ページ37

あの人は一部の記憶を失いながらも、あの人自身の異能と私の異能の特異点により、蘇ったのです。

またあの人の為に尽くせるのだと、私は歓喜を、衝動を抑えられなかったのです。

ですが、私はあの人の共へと帰る事は出来ませんでした。

何故なら、其の男の対価は、私の異能。

つまり、私自身だったのです。

一度死に、目的が変わってしまったあの人の共へと、私は帰る事が、尽くす事が出来なかったのです。

あの人は命の、その強い輝きを求めていました。ですが、蘇った後、あの人は異能力者のその異能を結晶化したモノを集める様に成りました。それこそが求めていた輝きだと信じ込んでしまったのです。

あの人の異能力を、あの人自身を含めて私は好いておりました。

だから、例え私が其の男のモノになったとしても、あの人の結晶集めを手伝える、役に立てる、尽くせるのなら、私は今まで通りにと。


自身を殺し、自身を犠牲にしました。


其の男は言いました。全て予想通りだと。自身の思考を超えるものなどやはり居ない、と。

其の言葉に、あの人も同じ様な事を言っていた事を思い出しました。それに加え、退屈だ、とも。

私は結局、あの人の退屈を無くす事など出来なかったのです。無くす前に、あの人は輝きを失ったのですから。

それからと云ふもの、私は其の男と共にあの人の為に世界中からありとあらゆる異能力者を徹底的に調べ上げ、直接的ではないのですが、あの人に尽くしたのです。


ですが、無知で無力な私は知らなかったのです。


実際は、あの人の分離した異能があの人が蘇った様に見せていただけで、決して、あの人の異能と私の異能の特異点で蘇ったのではなかったのだと。

私が異能で作り上げていたのは、何もかも燃やされ流されて消えて失ったあの人の…私の服に残されたあの人の一本の髪と私の骨の欠片で再構成した、あの三本の爪痕が残った頭蓋骨だけだったのだと。

其の男は、己の目的の為、当然の如く嘘を吐き、私を、そしてあの人を利用していただけに過ぎないのだと。


その時の私には……知る由もなかったのです。


後は…貴方方の知っている通りでございます。

*22−1*出来ない答え合わせ*→←*21−2*



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フェミロ - まろりんさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。只今、番外編&NG集等を作成中です。ご意見頂いた物語も書かせて頂きたいと思います。ありがとうございます。 (2018年4月29日 8時) (レス) id: af47f06155 (このIDを非表示/違反報告)
まろりん - 泣きました( ;∀;)もし番外編の機会があったら死後、彼らの幸せな場面を見てみたいです。フョードルルートも。 (2018年4月14日 0時) (レス) id: 631d19327a (このIDを非表示/違反報告)
フェミロ - Rukaさん» そう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。頑張ります。 (2018年3月29日 8時) (レス) id: a574a862fc (このIDを非表示/違反報告)
Ruka(プロフ) - すごく感動しました!!!次の作品も頑張ってください!! (2018年3月26日 15時) (レス) id: aecad8101e (このIDを非表示/違反報告)
フェミロ - ご指摘ありがとうございます。外し忘れていましたので直しました。ありがとうございます。 (2018年3月15日 22時) (レス) id: af47f06155 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フェミロ | 作成日時:2018年3月15日 21時

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