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*19−2* ページ33

…ふふふ、お喋りが過ぎたからしら。

まぁ、貴方には感謝してるのよ。

あの人を救ってくれたんですもの。

あの日最期に見た…貴方の命の輝きを今一度、一目見たいと思ったあの人の願いを叶えてくれたのだから。

あの人も言っていたでしょう?貴方はあの人にとっての天使だ、と。

救済の連鎖…確かにそうね。

でも、私にはその連鎖は無に等しい。

だって、あの人…あの人だけが、私の唯一の救いだった。

生きる為の唯一の存在だった。

あの人の為に私は生きて、あの人の為に尽くした。

生き物は…何かを殺して、何かを犠牲にしなければ生きて行けない。

ならば私は。


生きる為に自分を殺して犠牲にする。


否、したのよ。

自分を殺して、自分を犠牲にして…そうやって生きてきた。

この身を焦がして尽くして尽くして果てるまで。

私はあの人に誓ったのだから。

どんな事があろうと、私はあの人を裏切らない。

私の全てはあの人の為に使うと。

…あの人が居ない世界なんて、私には耐えられない。

あぁ、なんて退屈なのかしら。

退屈過ぎて…悲し過ぎて…辛過ぎて…もう、何の為に生きているのか、分からない。


だから…私は…わたしは…あの人の元へ還るの。


もう私には生きる意味…死から逃れる意味は無い。理由も無い。

ならば、後はどうすれば良いか分かるでしょう?

ただ、このまま果てるのは詰まらない。

あの人ならこう言うでしょう。

実に退屈な死因だな、と。

だったら最期ぐらい、自分でどう死ぬのか決めたいものよね。

ああ、貴方の先輩は心中…だったわね。それもとびきりの美女と。

私は美女ではないから心中はお断りしたわ。今では面白い思い出ね。

…私はずっとあの人の為に尽くしてきた。

だから私の死因は自ずと決まっているのよ。

焦がれて死んで逝くのも、想って死んで逝くのも良いけれど…ソレはソレで退屈。詰まらないわ。


では、どうするか。

*20−1*シラユキヒメ*→←*19−1*其の女は語る*



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フェミロ - まろりんさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。只今、番外編&NG集等を作成中です。ご意見頂いた物語も書かせて頂きたいと思います。ありがとうございます。 (2018年4月29日 8時) (レス) id: af47f06155 (このIDを非表示/違反報告)
まろりん - 泣きました( ;∀;)もし番外編の機会があったら死後、彼らの幸せな場面を見てみたいです。フョードルルートも。 (2018年4月14日 0時) (レス) id: 631d19327a (このIDを非表示/違反報告)
フェミロ - Rukaさん» そう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。頑張ります。 (2018年3月29日 8時) (レス) id: a574a862fc (このIDを非表示/違反報告)
Ruka(プロフ) - すごく感動しました!!!次の作品も頑張ってください!! (2018年3月26日 15時) (レス) id: aecad8101e (このIDを非表示/違反報告)
フェミロ - ご指摘ありがとうございます。外し忘れていましたので直しました。ありがとうございます。 (2018年3月15日 22時) (レス) id: af47f06155 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フェミロ | 作成日時:2018年3月15日 21時

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