*14−2* ページ25
気絶した女の意識は、未だ深く暗い海の底にいた。
其の場所から微かに聞こえてくるのはナニカの轟く様な呻き声。
ズキズキと脳から何かを引っ張り出す様に、その存在を現し始めるのは、人の器に収められていたソレ。
__汝、陰鬱なる汚濁の許容よ、更めて我を目覚ますことなかれ…
懐かしいソレの存在に、女の意識は一時的に浮上する。
蒼き瞳の幼女が厳重な硝子越しに見た、禍々しいソレの正体。
彼女の、忘れ去られた幼き頃の記憶がソレの名を呼んだ。
わたしとおなじ、しさくひん…
「…甲、二五八番」
半分しか開かない瞼から、微かに見えるのは巨大な紅い龍。
そして、其れと対峙するのは忘れ去られた幼き記憶より、更に力強く禍々しさを増して成長したソレ。
ソレの証である異能痕を纏った、癖のある茶髪の小柄な青年が巨大なビルを重力を無視して持ち上げる姿だった。
「おはようございます、A」
半壊した広間に、フョードルと女は居た。
床に寝かされていた女は、顔だけをフョードルに向けて其の手元にある髑髏を見た。
つくつくと嗤うフョードルは独りでに言った。
異能が戻ったからか、予定より目覚めるのが早かったですね。
それとも…アレに引っ張られて一時的に目覚めてしまいましたか。
「まぁ、僕としては支障は無いので構いませんが」
異能痕を纏った小柄な青年の持つ巨大なビルが、光弾を放つ龍の口内へ丸ごと奥へと押し込まれる。
光弾が行き場を無くし、龍の中で破裂する。
小柄な青年は更にと異能を振るい、重力子弾を撃ち込んだ。
青年が何か叫ぶが、此処からではよく聞こえない。
光線が走り、龍が真紅の光となって弾け飛んだ。
異能の集合体が分離し、柔い雨の様にキラキラと落ちていった。
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フェミロ - まろりんさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。只今、番外編&NG集等を作成中です。ご意見頂いた物語も書かせて頂きたいと思います。ありがとうございます。 (2018年4月29日 8時) (レス) id: af47f06155 (このIDを非表示/違反報告)
まろりん - 泣きました( ;∀;)もし番外編の機会があったら死後、彼らの幸せな場面を見てみたいです。フョードルルートも。 (2018年4月14日 0時) (レス) id: 631d19327a (このIDを非表示/違反報告)
フェミロ - Rukaさん» そう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。頑張ります。 (2018年3月29日 8時) (レス) id: a574a862fc (このIDを非表示/違反報告)
Ruka(プロフ) - すごく感動しました!!!次の作品も頑張ってください!! (2018年3月26日 15時) (レス) id: aecad8101e (このIDを非表示/違反報告)
フェミロ - ご指摘ありがとうございます。外し忘れていましたので直しました。ありがとうございます。 (2018年3月15日 22時) (レス) id: af47f06155 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フェミロ | 作成日時:2018年3月15日 21時