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*1−1*其の抗争の名は* ページ2

その街の、灯りは消えていた。

ただ唯一の光である蒼白く輝く満月に、その街は照らされていた。

辺りには腐臭が漂い、血痕が飛び散り、其処に生きている者さえ、誰一人と居なかった。


居なかった、筈であった。


親に守られ、生き残った小さな子供が泣き喚く。

赤茶の髪をした男が片手に銃を持って駆け抜ける。

紅い単車に乗った小柄な少年が道を駆け抜け、重力を無視してビルを登る。

わざと捕らえられていた、包帯を巻き黒を纏った少年が口を開く。

少年達の敵である仮面の部隊がゾロゾロと何処からか現れる。

静かであった其の街は、一瞬にして騒がしくなった。


「手に入る、手に入らない、手に入る、手に入らない…」


煌めく部屋に、其の男は居た。

白い髪に白い服、白い肌。其れ等を引き立たせる様な、紅い、紅い、其の瞳。

ブツブツと繰り返して言葉を紡ぎ、世では価値ある金銀財宝を花占いの様に炎の中へと落としてゆく其の男こそ、この街で起きた抗争をさらに激化した人物であった。


「…、手に入る……手に入らない」


男は残念だと言わんばかりに溜息を吐くと、ゆっくりと顎の下で手を組んだ。

小柄な少年が、俺の仲間を返せと言う。

其の男は言う。彼らは…君の友人は皆、ジサツしたと。

激怒した少年が、隣の黒を纏った少年に言った。


「止めるなよ」


とあるビルで大規模な爆発が起こる。

重力が無視されるその力に、其の男は別のビルから様子を伺っていた。


「…楽しすぎるね」


先程の爆破の影響で、風が吹く。

淡く光る満月に照らされ、冷淡な微笑を見せる其の男は、露西亜帽の耳当てと黒い髪、纏う藍色の外套をはためかせてそう言った。

*1−2*→←*必読*注意事項*



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フェミロ - まろりんさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。只今、番外編&NG集等を作成中です。ご意見頂いた物語も書かせて頂きたいと思います。ありがとうございます。 (2018年4月29日 8時) (レス) id: af47f06155 (このIDを非表示/違反報告)
まろりん - 泣きました( ;∀;)もし番外編の機会があったら死後、彼らの幸せな場面を見てみたいです。フョードルルートも。 (2018年4月14日 0時) (レス) id: 631d19327a (このIDを非表示/違反報告)
フェミロ - Rukaさん» そう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。頑張ります。 (2018年3月29日 8時) (レス) id: a574a862fc (このIDを非表示/違反報告)
Ruka(プロフ) - すごく感動しました!!!次の作品も頑張ってください!! (2018年3月26日 15時) (レス) id: aecad8101e (このIDを非表示/違反報告)
フェミロ - ご指摘ありがとうございます。外し忘れていましたので直しました。ありがとうございます。 (2018年3月15日 22時) (レス) id: af47f06155 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フェミロ | 作成日時:2018年3月15日 21時

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