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「そう簡単な話ではないんじゃよ。」
ロゼが振り返るとそこにはダンブルドアが立っていた。
「君が話を聞きに来たというのでな。わしの言葉では足りぬか?」
「すみません。生憎、出会って半年の人の言葉を一から十まで信じるほど純粋ではないので。」
「そうか、それは安心じゃな。」
ダンブルドアが柔らかく微笑むのを見てロゼは僅かに面食らっていた。真正面から完全には信じられないと言われてここまで笑むことが出来るのは何人いるだろうか、と。
「して、わしに聞きたいこととはなんじゃ?」
「何のことでしょうか?」
「気付いておるじゃろう?セブルスに君の動向を気にするよう言っておる。君はそれに気付いて、あえて直接聞きに来た。探っていると、動いていると匂わせれば、すぐにセブルスがわしに知らせるじゃろうとな。」
3人の間に沈黙が流れる。ロゼがそれを破るように溜息を吐いた。
「買いかぶり過ぎですよ。でも、そうですね……1つだけ。ヴォルデモートを彼から引き剥がすことは可能ですか?」
「離れる時は……死ぬ時じゃ。」
「……それほどまでに癒着が進んでいると。」
ロゼがそう言うとダンブルドアは静かに頷いた。
クィレルとヴォルデモートを切り離すことはほぼ不可能……いや‘離れる時は死ぬ時’ということはクィレルが死ねばヴォルデモートが離れる、もしくはヴォルデモートが離れればクィレルが死ぬ……人に寄生しなければならない存在であることからも、切り離せばヴォルデモートも弱体化することは確実……
「……わかりました、ありがとうございます。」
一通り考えを巡らせたロゼはそう言い、退室しようと2人に背を向けた。その背にダンブルドアが声を掛ける。
「A……」
振り返ったロゼとダンブルドアの視線が重なる。
「よいか、命は等しく尊いものじゃ。」
「ええ、知っています。」
そう言って微笑むと、ロゼはその場を後にした。
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作者名:透 | 作成日時:2021年9月26日 21時