太芥『吐血』※ 医者パロ ページ45
◆
昨日はすみませんでした。
♀♂
「あのねぇ、君」
太宰は困ったように、あきれたようにため息をついた。目の前には、一口二口しか食べていない配膳がある。
大学病院の優秀な医者である太宰は、最近この患者に手を焼いていた。ご飯は食べない、話もしようとしない、診察は嫌がる…その他諸々、問題児なのだ。
「芥川君、治りたくないのかい」
「……貴方が知って如何する」
病院のベットで拗ねたように膝を抱える。芥川と呼ばれた少年は肺を病んでいた。
ごほごほと咳き込めば血の混じった痰が出てくる。いち早くそれに気づいた芥川の幼馴染みが此処へ連れてきたのだった。
「そうだね。治りたくないなら、私は君を放っておくよ」
「では、」
「治りたかったらもっと優秀な医者を呼んであげよう」
複雑そうに芥川は顔をしかめる。自分は太宰が好きだからここにいるというのに、と内心そう思った。
「治りたくなど、あるものか…」
消え入りそうな声でそう言った。太宰は悪戯でいて美しい微笑みを芥川へ向け、「分かったよ」とだけ言って部屋を出ていった。
扉を閉められ芥川はまた膝を抱える。自分は嫌われただろうかと気がかりなことがあれば咳が止まらなくなる。そして血を吐いてしまうのだ。
しかし芥川は気づいていた。芥川自身、自分が退院出来るほど元気ではないが其処まで重症ではないという、ギリギリのラインを過ごしているということを。
それは太宰の策略か、それとも芥川の僅かな期待か、知る者は誰もいない。
「森さん、私の担当患者が本当に可愛い」
「うん、そう」
「私もあの子大好きだからずっとここに居させる。外になんか出すものか」
「太宰君、私仕事があるんだけどなぁ。というか君も仕事あるよね」
「知りません。私は芥川君がいればそれでいい」
♀♂
芥川さんの食べ残しは太宰さんが頂きました。
敦芥『満員電車』→←ショタがれちゃんは誰の物?所有者決定戦!
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羅生門 - 体が痛む。 (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
kyo - 誰が見ても認める美貌の持ち主の芥川さんは、驚くほど食事の量が少ないので食べ残しは私が食べます。(きりっ) (2017年8月25日 10時) (レス) id: b8f51b6520 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - マジカルワールドさん» 本当に申し訳ないです…!ありがとうございます! (2017年6月10日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なかゞわとまと | 作成日時:2017年4月22日 1時