敦芥『幼い彼なりの伝え方』 ページ32
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芥川が僕より年上だと聞いて驚いた。そりゃまあ、身長も同じくらいだし、態度とか雰囲気からも、同い年か年下かと思っていた。が、実際は二十歳。
そしてこれを知ったのは今日のことだった。芥川と僕が付き合って三ヶ月経った日のこと。
ふと太宰さんに芥川の可愛さについて語っていたら「二十歳には見えないもんねぇ」とあの人は言ったのだ。
「あ、おかえり」
どうやら芥川が帰ってきたようだ。しかし年上と言われても彼は幼い。前に料理の1つでも出来るかと聞いたとき、羅生門にやらせていると聞いて心臓か飛び出そうになった。
だって、何度か僕を殺す凶器になった羅生門が料理なんて、芥川が器用なのか不器用なのか分からなくなる。
「敦」
僕の名前を呼べば必ず芥川は僕へと抱きついてくる。いや、倒れ混むと言ったほうが正解か。
別に重くないから構わないけど、年上と分かってしまった僕には少し大変だ。どうしても気を遣って仕舞う。
「芥川、ご飯出来て…ます」
ほら、敬語になった。「何故敬語なのだ」と言われたら御仕舞いだ。
「何故敬語なのだ」
ほら言われた!芥川が年上だったからなんて言ったら、知らなかったのかと言うんだろうなぁ!
それはともかくぎこちなく、そしてあやふやな返事をすると芥川は渋々抱きつくのをやめた。
「その、芥川って僕より年上なんだよな」
「………敦は年下が好みか。自分より老いている僕のような奴は嫌いなのか。ふん、そんなの知れた事。ならばもう」
「違うから!やめろ!いや、ずっと同い年かと思ってたんだよ」
また芥川の拗ねた態度を必死に直そうとする。案外疲れるが、僕は結構好きだ。そして芥川は同い年、という言葉にぴくりと芥川が反応した。
「そうなるとお酒飲めるんだよね。もしかして飲まないのって気遣ってる?」
「あ、当たり前だ。僕が酒を飲めぬわけが無いだろう」
なんとなく察した僕だったが、とりあえず飲んでいいんだよと言った。
___しかし僕は後悔した。やはり察した通り芥川は酒に弱く、いつもは喋らないことを淡々と喋っていくのだ。
本当に、心臓に悪かった。
♀♂
次の朝二日酔いで寝込むやつがれちゃん。
敦芥『二日酔いの彼奴を看病するのも悪くない』→←敦芥『ただでさえ可愛くて仕方ないのに。ドレスを着てるなんて、お持ち帰りのパターンじゃないですか』
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羅生門 - 体が痛む。 (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
kyo - 誰が見ても認める美貌の持ち主の芥川さんは、驚くほど食事の量が少ないので食べ残しは私が食べます。(きりっ) (2017年8月25日 10時) (レス) id: b8f51b6520 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - マジカルワールドさん» 本当に申し訳ないです…!ありがとうございます! (2017年6月10日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なかゞわとまと | 作成日時:2017年4月22日 1時