誰が見ても認める美貌の持ち主の芥川さんは、驚くほど食事の量が少ないので食べ残しはそこら辺の変人達が食べます。 (ページ28)

今日:9 hit、昨日:9 hit、合計:47,562 hit

敦芥♀『年下が好みなら、私の精神年齢は5歳以下だ、君より年下だ！』ページ28

◆

「皆さん、ありがとうございます」

　結婚祝いのために心の底から幸せそうに笑う敦と、照れながらも嬉しそうに微笑む芥川。否、もう芥川と言うのも可笑しいだろう。

　貧民街にいた頃、周りに男だと勘違いされ苦しい過去をもつ芥川の名前は本当に男のようだ。しかしそれに唯一気がつき声をかけてくれたのが中島敦…即ち、今芥川の婚約相手である。

　龍之介という名前が嫌なら変えたらどうだと敦に言われたことがあったが、芥川は首をふった。なんだかんだ言って気に入っているらしい。

「目出度いな、敦。俺より早い結婚だが」

　ポートマフィアと探偵社の皆に祝福されているこの二人だが、気にかかることが１つあった。

「敦、太宰さんは…あと中原さんもいない」

「あっ、確かに。何処行ったんだろう？」

　太宰と中原の姿が見えないのだ。芥川と敦の結婚が二人に知らされていない筈もないし、ならば意図的に来なかったのだろうか。

　敦と芥川が顔を見合わせていると、突如空から声が聞こえた。

「芥川ぁぁああぁあっ！」

　男らしいが小柄な男性、中原中也と、

「芥川くーーーーんっ！」

　ビルから落ちてくる太宰。

　二人とも芥川たちの目の前に落ちてきた。中原は華麗に着地し、太宰は死にそうなところをぶつけている。

　敦は固まって動けない状態だが、芥川は至って冷静に言った。

「…太宰さん、僕をあの時見つけてくださりありがとうございました。お陰で今、僕は幸せです」

「いや違うんだよ芥川君。私が君を拾ったのは君と結婚したいからなのだよ今からでも遅くない結婚しよう！？」

　芥川の手を掴んだ太宰だったか無言で敦が威圧をかけ、黙ってその手を離した。そして芥川は中原のほうを見る。

「中原さんも、毎度毎度僕の心配をしてくださりありがとうございます」

「心配するついでに、幸せにしてやるよ。芥川、結婚しようぜ」

　普通にイケメンなプロポーズも芥川は苦笑して目をそらす。太宰は中原の後ろで「なんで！なんで！」と癇癪を起こしている。

「龍之介、楽しそうだね」

「ああ。敦こそ楽しそうだ」

　また二人は顔を見合わせて笑った。

♀♂

　リクエストありがとうございます。