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敦芥詰め合わせ ページ20

___え?芥川君知らなかったの?彼、今日誕生日だよ。



 数時間前に聞いた師の言葉が甦る。芥川は夜の街を全力で走っていた。四肢が千切れそうなほど走っているのに、目的地はまだまだ先である。


 芥川は今日が敦の誕生日ということを知らなかったのだ。恋人同士であるのに、芥川はそれを知らなかった自分を心底責めていた。



 ポートマフィア本部から全速力で走り、入水中の太宰に会い、その事実を知ったのはある意味幸運だったと言える。
 まだ敦の元へはほど遠い。急がねばと思ううちに、空はどんどん曇り出し、雨が降ってきた。


 無論、傘などない。水を含んだ外套が重い。しかしそれでも芥川は自分を愛してくれた敦の元へと急いだ。



「敦ッ!」



 そして古いアパートの扉を合鍵で開け、その人の名前を呼ぶ。しかし応答は無かった。

 今の今まで暑かったが、急に寒くなる。敦の部屋には誰もいない。



「敦…」



 部屋の明かりもついていない。まさか見切りをつけられたのかと嫌な汗が伝ったが、現在の時刻は午後7時。敦の就業時間はいつも7時を過ぎるし、きっと探偵社で祝われているのではないかと考えてしまった。


 となれば徐々に視界が狭くなり、頭の中でサイレンがなり出す。あの雨の中走ってきたのだ、無理もないだろう。

 静かに扉を閉めて芥川は玄関で膝を抱え、敦の帰りを待っていた。


 …後日談、敦がこれ以上ない怒りのオーラを纏い芥川を叱りつけるのはまた別の噺。


__誕生日とか如何でもいいから!あっいや如何でもよくないけど!芥川が風邪引くと命に関わる!本当電話してくれれば良かったのに!玄関で寝たら駄目ってこの前も言っただろ!

*

「人虎…」


 街中で偶然二人が会った。もちろん互いに私服であるため戦闘は出来ない。が、芥川の私服は仕事着と殆ど変わらなかった。


「芥川、私服ないの?」

「笑止。これが私服だ」

「だって真っ黒だし。ほら、あのひらひらついた三段フリルは?」

「僕を愚弄する気か」

「いや、違うけど。それはいくらなんでもないよ」

「貴様こそ、その無地でただ白い服ではないか」

「だってイメージカラーが白なんだもん。仕方ないだろ」

「僕だって黒だ。仕方あるまい」

「でもお前白似合うって」

「ならば貴様は黒か?」

「そうだね、今度会ったら色を反転させてみよう」

「戯言を。次会ったら八つ裂きにしてやる」


 仲が良いのか悪いのか。





 まだまだ続くよ敦芥祭り

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羅生門 - 体が痛む。 (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
kyo - 誰が見ても認める美貌の持ち主の芥川さんは、驚くほど食事の量が少ないので食べ残しは私が食べます。(きりっ) (2017年8月25日 10時) (レス) id: b8f51b6520 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - マジカルワールドさん» 本当に申し訳ないです…!ありがとうございます! (2017年6月10日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なかゞわとまと | 作成日時:2017年4月22日 1時

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