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中芥『勘違い』 ページ16





 ちょっとほんわかピンクな中芥。

♀♂



 彼奴の仕事は終わっただろうかと、中原は時計を見た。午前1時を指しているのだが、生憎秒針が動いていない。こりゃ壊れてんな、と中原はため息をついた。


 …そして今日は愛用の腕時計を忘れてきたのだ。つくづくついていないともうひとつため息をつく。



「芥川、いるか?」



 それはそうと、自分の要件を伝えるために芥川の部屋の前まで来た中原。現在の正確な時刻は分からないが、恐らく夜中なのは確かだ。


 そんなことを思いながらも部屋からの応答はない。寝ているのだろうか、それともまだ任務だろうか。
 中原はすまない、と思いつつ部屋の扉を開けた。


 鍵は掛かっていなかった。



「芥川、一寸この書類……って芥川!?おいっ、死ぬな!」



 持っていた書類が音をたてて床に落ちていく。芥川はいつもの外套を纏っていたが、問題は其処ではない(部屋で外套を着るなと中原は何度も言っていたが)


 芥川が、恐らく無花果であろうものを口に詰め込んでいるのだ。これは一見喉が詰まったように見える。

 中原も勘違いをし、芥川のもとへ駆け寄った。



 そして目を見開いている芥川の肩をやや乱暴に掴んで、接吻をした。



「んっ…!?」



 詰め込んでいた無花果が口を開いたこのによって中原の口内へといき、まさに口移しの状態になっていた。



「っ…大丈夫か芥川!」



 徐々芥川の口が萎んでいき、中原も口を離した。喉に詰まらせていたと勘違いしていた中原だが、芥川があまりにも赤く火照るからか「そ、その、悪ぃ…」と言った。



「あの、喉に詰まってなどおりませぬが…」



 ものすごく言いにくそうに芥川は言った。ただ無花果を詰め込んでその味を楽しんでいただけなのだ。



「…………」



 中原の顔から血の気が引いていく。逆に芥川の顔が赤くなっていく。

 「初めて、だったか?」と恐る恐る聞けば肯定の意が返ってきて、中原は天を仰いで謝罪する。



「だから、責任取らせろ」



 今度は真っ赤な顔で中原は言った。


 もちろん返ってきたのは肯定の意____。



♀♂♀


 リクエストありがとうございました。

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羅生門 - 体が痛む。 (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
kyo - 誰が見ても認める美貌の持ち主の芥川さんは、驚くほど食事の量が少ないので食べ残しは私が食べます。(きりっ) (2017年8月25日 10時) (レス) id: b8f51b6520 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - マジカルワールドさん» 本当に申し訳ないです…!ありがとうございます! (2017年6月10日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なかゞわとまと | 作成日時:2017年4月22日 1時

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