中芥『隠れた優しさ』 ページ14
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タイトルが思い付かないこの(汚れつちまつた)悲しみ。
お誕生日おめでとうございます。
♀♂
「芥川君、任務でやってはいけないことがあるのは知っているかい?」
重く響いた首領の言葉。芥川は口をつぐみ、何も言わない。
首領である森は溜め息をついてから、「太宰君は教えていないだろうけど」と付け足した。
「自分の部下を守ろうとして敵の攻撃を受けてしまうことだよ」
__確かに仲間を守ることは大切だね。でもそれで自分が怪我をしては元も子もない。幸い、敵は絶命したそうだけど。
謝罪の言葉を述べて芥川は部屋を出る。自分が庇ったのは、妹の銀だったのを首領は知っていて言ったのかは分からない。
ただ自分は対して強くないというのに他人の心配をするという無様な行為をするという失態を犯してしまった。
「首領からの伝言があったぞ。手前は暫く俺の元にいろってな」
中原に突然後ろから声を掛けられ、芥川は心臓が飛び出る程に驚いて距離を取った。
そんなに驚くなよ、と呆れたように言われて芥川の胸がちくりと痛んだ。
「説教すっから俺の部屋に来い」
ついていかなかったら自分は如何なるのだろうと、芥川は歩きながら考えた。組織を追放されるのだろうか。
そしたらまた貧民街の出来損ないとして死を望むのだろうか。
悶々と考える芥川の歩調は、段々と遅くなっていき、中原とずいぶん離れていった。
「遅いぞ芥川」
「すみませんっ…」
そして中原の声にはっとし急いでついていく。
これから言われることは全て自分の駄目な所なのだろう。知っているから言わなくても良いではないか。
「ほら、入れよ」
中原に押されて部屋に入る。説教はどれほどの時間続くのだろう。芥川は時計を尻目に見た。
「そこ、座れ」
顎で指されたところに腰かける。向かいに中原は音をたてて座った。現在の時刻は0時前。日付がもう少しで変わるところだった。
「まず手前の独走癖だが__」
中原の説教が進むにつれて、やはり芥川は眠くなるのだった。
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羅生門 - 体が痛む。 (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
kyo - 誰が見ても認める美貌の持ち主の芥川さんは、驚くほど食事の量が少ないので食べ残しは私が食べます。(きりっ) (2017年8月25日 10時) (レス) id: b8f51b6520 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - マジカルワールドさん» 本当に申し訳ないです…!ありがとうございます! (2017年6月10日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なかゞわとまと | 作成日時:2017年4月22日 1時