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敦芥『慣れない』 ページ2




 タイトルが思い浮かばないという事態発生。

♀♂



 芥川は風邪を引いた。否、これでは少し普通の風邪を引いたと思われるかもしれないが、芥川は敢えて風邪を引いたのだ。

 この暖かいとは言えない季節にわざわざ誰の真似だか、川に飛び込んだ。貧民街出身で、免疫力のない芥川はその後すぐに風邪を引く。



「あのなぁ…お前、太宰さんじゃないんだからさぁ…」



 結局芥川の看病は、停戦というより普通に仲良しになってしまった探偵社の中島敦が面倒を見ることになった。“新双黒としてのチームワークを見せて!”という何ともこじつける太宰の主張が原因だ。



「げほっ…!あの人と一緒にするな、おこがましい…」

「芥川の中の太宰さんって何なの?神?」



 小言を言いながらも敦は芥川の額に濡れたタオルを置く。芥川は気持ち良さそうに目を細めたのだが、それを見た敦は何とも言えない気持ちになる。



“無防備だって、何で分からないんだ…誘ってるようにしか見えない”



 敦は1つ、ため息を吐いてから「安静にしてろよ」と言って部屋を出ようとした。ここにいたら芥川を襲いかねない、と思ったのだ。

 しかし当の芥川は立とうとする敦の長すぎる革帯(ベルト)を掴んだ。



「なっ、なんだよ」

「ここにいろ。発作を起こした時対処してもらわねば困る」

「この前まで散々殺すとか言ってた癖に…僕、今ならお前を好きな時に殺せるぞ。少しは警戒したらどうだ」

「警戒などするものか…げほっ、貴様は無益な殺しはしない」

「っ…そういう所、本当誘ってるようにしか見えない…!」



 悔しそうに敦は拳を握った。なんで、なんで此奴はこう…僕を誘って仕舞うんだ、罵ってくれたほうがマシだ。



「…分からぬのか?」



 不意に芥川が抑揚のない声で言った。鉛のように気だるいであろう身体を無理矢理起こし、固まる敦の首に腕を回した。



「誘っているのだ。…ふん、好んで風邪を引くものか…」



 こうまでしないと貴様は振り向かなかった、と熱でほんのり紅く色づいた顔で芥川は言う。敦は堪ったものじゃない。


 さっさと芥川に馬乗りして、戸惑いがちな視線で、それでいて確信のある色の瞳で



「僕、抑え効かない…から」



と言ってみせた。



♀♂



 敦芥は健全ないちゃいちゃですよね。

太芥『手袋』→←太芥『翌朝』



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羅生門 - 体が痛む。 (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - karadagaitam (2021年4月5日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
kyo - 誰が見ても認める美貌の持ち主の芥川さんは、驚くほど食事の量が少ないので食べ残しは私が食べます。(きりっ) (2017年8月25日 10時) (レス) id: b8f51b6520 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - マジカルワールドさん» 本当に申し訳ないです…!ありがとうございます! (2017年6月10日 23時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なかゞわとまと | 作成日時:2017年4月22日 1時

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