思い出すな ページ35
頭を押さえて床に倒れたままAは目をゆっくりと閉じた。僅かだが、思い出したのだ。自分が闇の空間の水晶の中で眠り、その周りにはいつも何者かがいたこと。そして、その者はAをアドラステア帝国まで運んだこと。その後、Aはとある少女によって水晶から出されたこと。
『……フラン…』
消え入りかけた声を出して、Aは近くにあった植物の花に手を伸ばした。その手は花に触れることなく何者かに腕を掴まれて、Aは視線を上へとあげた。
「A、大丈夫か？」
いつもの優しい表情で、ベレトがAを心配そうに見つめており、Aは頭を押さえながら体を起こして深く息を吸った。色々と深く考えていたせいで頭痛がしたのかもしれない。あまり気分が良くなく、ハァ、と息をついたあとに『すみません』と言って申し訳なさそうに目を伏せた。
「体調が優れない？」
『いえ……少し、考え事をしていて……』
頭痛も引いて体に力が入らないということもなく、Aは立ち上がっていつものように笑みを浮かべた。しかしベレトはAの様子がおかしい事に気付いており、話は別日でいいから今日はゆっくり休んでおけ、と言ってAの頭にポンポンと手を置いた。
ベレトの手が頭に触れた瞬間
また、電流が迸るような痛みが頭の中を駆け巡った。
その時うっすらと見えた光景は、タルティーン平原でネメシスと対峙していた光景だった。彼の手には天帝の剣が握られており、ベレトと同じように赤い光を放っていた。
もしかして、炎の紋章に反応して記憶が……？
『ッ……』
「……おぶろうか？」
悲痛な声を漏らしたことにベレトは気づき、Aの前に屈もうとした。だが、ベレトに触れてしまうとまた記憶を思い出すために頭痛がしてしまいそうだったため、Aは首を横に振ってそのまま歩き出した。
思い出したかったはずなのに、知りたかったはずなのに
どうして今は思い出したくないと思ってしまったんだろう。
誰かが叫んでいる。
思い出してはいけないと
その先の扉を開けては、二度と戻ることは出来ないと
黒いシルエットが3つ
3人の人物がそう言っていた。
それが誰なのかは分からなかったが
それ以上思い出すことをA自身が望むことはなかった。
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楓 - 餅さん» ありがとうございます。入試頑張ってくださいね。分からないところを分かるまで解くのは本当に大変だということが分かります。二月の入試、応援しています。お褒めの言葉をわざわざありがとうございました。これからも頑張っていきます。 (2020年1月24日 17時) (
レス) id: da7e11619f (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 合格おめでとうございます。私も2月の初旬に入試があり、今年度が中学最後の冬になる者ですが、書き方等が中学生のそれよりもはるかに高いのでまさか同い年とは思っておらず、現在とてもびっくりしております。学年末、頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 5c9f4852bc (このIDを非表示/違反報告)
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