俺に恋人ができるまで。

じゅうよんわめ ページ17

志麻Side

「どういうこと？なりきり？え？」

「本当の由来……？」

多分、一番驚いているのは坂田だろう。
坂田は、長い付き合いの中でさえ、こんな宇宙を見たことがないらしく、一番驚いている。
ただ、俺らは、本当の由来というのは聞いたことがないので、知らない。
宇宙はまだ何かを隠している気がする。
本当の由来ってことも気になるけれど、他にも、俺達に言えない事情でも隠しているのだろうか。
愛妃に嘘を吐かれていたということ知ってしまって、絶句してしまう。
重苦しい空気が漂う中、はじめに口火を切ったのはセンラくんだった。

「本当の由来って何なん？」

「本当の由来は、言わへん。ヒントだけ教えたる。ヒントは、坂にぃ。俺は彼奴を追いかける。勝手に考えとって」

センラくんの問いに顔を上げた宇宙は険しい顔をしていて、同時に瞳の奥には底の見えない怒りが渦巻いているように見えた。
坂田を侮辱するなと言っていたことからも、名付けには坂田が関わっているのだろう。
昔のこと、だろうか。
俺らの付け入る隙は無いと言いたいのだろうか。
宇宙の言いたいことは分からないけれど、このまま行かせたら帰って来ない気がして、それでも立ったままで足が一歩の動かなかった。
すると、視界の端に宇宙の手首を掴み、引っ張る坂田が見えた。
坂田のその行動に吃驚したのか、宇宙はすんなりと坂田の腕の中に収まる。

「坂にぃ、離せや。
愛妃は絶対許さへん。
坂にぃが関係してる名前、侮辱するとか許さへん」

「その前に、色々聞かせてよ。
俺ら、まだお前のこと知らないし、昔のことも知りたい。だからさ」

坂田の手の中で暴れる宇宙にうらたさんが声をかける。
その言葉にやっと暴れるのをやめた宇宙に、皆で走り寄る。
それぞれ宇宙に話しかけていると、宇宙は急にぽろぽろと泣き出した。
何で泣き出したのか分からなくてぽかんとしていると、また話しだした。

「ごめん。俺……先に過去の話のほうがええかな。そこまで遠くない昔話」

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