1話 ページ2
クロのことが昔から好きだった。
きっとクロは気づいていないだろうけど。
それでも私は…これからもきっと好きだろう。
「研磨〜。壁になってー！」
「は？無理」
「幼なじみじゃん。お願い」
「そんなのクロに言えば？」
「言えないから、研磨に言ってるんだよ？」
クロを好きな事は研磨に昔からバレていた。
いつから？って聞かれても明確な数字も明確な出来事も覚えていない。気づいたら好きだったんだ。
いつも優しく、暇さえあればバレーに誘われる日々。
だけど性別の壁は越えられないため、同じバレーでも女子バレー部になってしまうため、同じ空間に居られないのであれば、遊びの範囲内で、部活は小学生時代、スクールバンド部。中学時代、吹奏楽部に所属した。
そして現在、高校は帰宅部である。
クロは身長がすごく伸びて３０センチ以上ある。研磨の方が、首痛くない。
そんな馬鹿なことを考えている。
そんなある日の事だった。
同じクラスの研磨に声をかけられた。
「ねぇ。A。部活、なんにも入ってなかったよね？」
いつも誰にも話しかけない研磨が私に話しかけたことで、一瞬、クラスの注目の的になった。
「え、入ってないよ」
「よかった………。バレー部のマネやらない？」
「え？？？」
「えっとさ……ちょっとここだと注目されちゃうから別の場所でいい？」
「いいよ」
廊下を出て空き教室に入る。
「あのね。この間、烏野高校と練習試合したんだけど…。その時ね、烏野高校のマネが増えてたとか、うちの部員がうるさくて、それは別にいいんだけど。虎…あの、山本がさ、幼なじみのやつマネやらねぇの？って言い出して……。Aの意思だってあるんだからって言ったんだけど。そしたらクロが、Aがいたら楽しそうだよなって言い出したから……。A的にはどうかなって」
「クロが喜んでくれるの？」
「多分……」
「なら……やってもいいよ」
「よかった。宜しくね。A」
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作者名：神威の子 | 作成日時：2024年3月17日 22時
