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六月下旬。湿気で僅かにくねる髪を撫で付ける。私は元々くせっ毛で、朝時間をかけてストレートにしているものだから……梅雨はいつも憂鬱。
幸いにも今日は晴れ。そして今日は、私の風紀委員初仕事デビューの日。……遅くないかしら、なんて言うのはやめて頂戴。
今までの三ヶ月間といえば、二人で談笑する訳でもないのにヒバリ君に応接室に閉じ込められ、外回りにも連れていかれず、書類も触らせて貰えず。形だけの腕章をつけて応接室に居座り、お茶を淹れたり彼から与えられた本を読んだりするだけの人間だった。
多分……彼、女性慣れしてなさそうだし。私の扱いに困っているだけだと思うけれど。
けれど、今日だけ……校内の人間としか関わらない仕事だからか、私は草壁くんと一緒に定期試験前の持ち物・服装検査のお仕事に任命されたの。期待に応えなきゃ、なんてはしゃいで校門の前に立ったところまではいいんだけど。
「………………」
「……なぁに？私のお顔に何かついてる？」
銀髪の彼に顔を凝視されてしまっている。彼はうんうんと唸りながら、ぽそぽそと何かを呟いている。……何なのかしら、かなり不自然な挙動だけれど。
「……ケッ、なんでもねぇよ」
彼は暫く私の顔を見た後、頭を掻きながら雑に鞄を回収して校内に入ろうとする。ちょっと待って、と呼び止める私の声は聞こえていないのか、周りに睨みをきかせながらすたすたと歩いていった。
「……あらまぁ、まだ終わってないのに」
タバコも服装も見事に校則違反。取り逃したことでヒバリ君に怒られないかしら、と後で報告してみたら、知り合いだったみたい。偶然ね。
何も注意できなかったけれど。私へのお咎めは？なんて聞いてみたら、特に何も返ってこなかったから、そのままお茶の準備をした。今のヒバリ君的には、お茶会方が優先順位が高かったのかしら。まぁ、単なる気まぐれだと思うけれど。
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「『 黒髪紫眼の、猫みたいな顔 』……どっかで聞いた事あるはずなのに……思い出せねぇ……」
ぶつぶつと呟きながら廊下を歩く銀髪の少年。向かう先は明らかに教室ではない。曇りがかった自らの記憶を掘り起こすのには、時間がかかるだろう。
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もも(プロフ) - まーぶりんさん» コメントありがとうございます。お褒め頂き光栄です。私自身気に入っていない部分が多い為近々大型修正が入るかと思いますが、それまで今の本作品を楽しんでいただけますと幸いです。 (2021年9月20日 6時) (
レス) id: f920ea46f5 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - 初めて読んだ感じの小説で，凄く面白かったです！続き楽しみにしています！更新頑張ってください！！ (2021年9月19日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もも | 作成日時：2021年9月12日 15時
