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「きゃっ！」
「うわっ！」
( "ちりん。" )
ヒバリ君へ、と教員達に頼まれ……いや、押し付けられた書類を持って応接室へ小走りで走っていた昼休み終盤。予鈴はとっくに鳴り終わっていて……授業に遅れないように、急いで走ってしまったのが悪かった。
案の定、廊下の角でご対面。のんびり歩く、知らない彼の前を横切ることは間に合わず、ぶつかってしまった。あるいは少女漫画のように、あるいはギャグコメディのように。綺麗にバランスを崩して転んでしまう。
幸い、ケースに入れられた書類は飛び散ることはなく、被害は最小限で済んだ。……よく見ると、相手の子の方が盛大に転んでいたわ。私、そんなに頑丈かしら。
「ご、ごめんなさいっ！立てますか……？」
ふらりと立ち上がり、弱々しい声でこちらに手を差し出してくる少年。二年生かしら、まだあどけない顔は痛みと焦りに滲んでいる。
そんな彼を見て、私は──
「サワダ……ツナヨシ……」
「エッ……！俺の名前知ってるんですか！？」
"何故か"彼の名前が脳裏に浮かんだ。
「……あぁ、いえ。上靴に書いてあったから」
「あっ！」
自意識過剰だった……！と顔を赤くする彼──沢田くん。私は咄嗟に彼の足元を見て、名前の書かれた上靴を理由にこの場を乗り切った。
私は、自分が何故彼の名前を知っているのかが分からなかった。
「……ぶつかってごめんなさい、急いでいるから失礼するわね。」
「は、はい！……って、あの人風紀委員の腕章つけてる！？てことは、ヒバリさんのとこの風紀委員ーーー！？」
私は多分、彼を知っている。並盛中……いえ、日本に来てからずっと感じてきた違和感が喉につっかえる。とりあえず、この場から逃げたくて……私は足早に応接室へ向かった。
結局間に合わなくて、午後の授業をまるまる休んで応接室で過ごすことになったのだけれど。彼とのお茶会はとっても楽しくて、気にしていたことの大抵の事は忘れてしまった。
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「あいつ……どっかで見たことあるな」
見晴らしのいい屋上。黒いスーツを身にまとい、橙色のおしゃぶりを首に提げた赤ん坊は双眼鏡を目から外すと、先程まで視界に入れていた黒髪の少女を自身の記憶から引き出そうとしていた。
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もも(プロフ) - まーぶりんさん» コメントありがとうございます。お褒め頂き光栄です。私自身気に入っていない部分が多い為近々大型修正が入るかと思いますが、それまで今の本作品を楽しんでいただけますと幸いです。 (2021年9月20日 6時) (
レス) id: f920ea46f5 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - 初めて読んだ感じの小説で，凄く面白かったです！続き楽しみにしています！更新頑張ってください！！ (2021年9月19日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もも | 作成日時：2021年9月12日 15時
