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「ねぇ、『ヒバリ』ってどういう字を書くの？」
「自分で調べなよ」
「私、まだお茶出ししかしていないんだけれど。日本の風紀委員はどんな活動をするのかしら」
「草壁に聞いて」
「それ、何の書類？楽しいイベントかしら。少し見せて頂戴」
「…………君、そろそろしつこいよ」
書類を片付けるヒバリ君の隣に何処からか勝手に椅子を引き摺ってきて、頬杖を着きながら彼の仕事っぷりを見つめる。合間合間にしつこく質問を挟めば、彼は段々と苛立ってくれる。
「ヒバリくんったら。私相手ならしつこい質問にも結構答えてくれるんだから、優しいわよね。好きよ？そういう人。」
好きよ、あたりで彼の腕が真上に振り抜かれた。今、私が後ろに退いてなければ、今頃彼のトンファーで私の顎が砕けていたであろう、容赦のない一閃だった。
「あら、危ないじゃない」
「……君、何がしたいの？」
「特には。貴方、可愛いんですもの。」
私はただ、貴方とお話したいだけなのよ？と。彼に笑顔を浮かべてみせれば、むっとした彼にじろりと睨まれる。このやり取りも、もう何度目かしら。
私が転校してきて一ヶ月は経つ。私の思考が読めない彼と、特に何も考えていない私の小競り合い。草壁くんが冷や汗を浮かべながらそれを見るのも、もうすっかり日常となっていた。
彼は苛立つと決まって私に一度だけ手を出してくるけど、それが私に当たることは無い。そして、その後の迎撃も無い。彼曰く、私の顔を見ていると戦う気が失せるんですって。どういう意味かしら。
「そういえば……ヒバリ君、今日お誕生日なんでしょう？ふふ、おめでとう」
今日は五月五日。日本では連休の真っ最中。今日が彼の誕生日であることは事前に草壁君から耳打ちされていたので、態々学校に来てお祝いしてあげようと思ったの。どうせ彼、いつでも学校にいるでしょうし。
「今日は特別にケーキを買ってきたから、お茶の時間はそれを食べましょう。甘いもの、嫌いじゃないでしょう？」
「ふぅん……いいよ。そろそろコレも飽きてきたし、休憩にしようか」
そう言って彼は書類をぱさりと置き、ローテーブルがあるソファへと席を移した。彼の前にモンブランと淹れたての珈琲を置けば、むすっとしていた彼も上機嫌になる。こうしてまた、すっかり恒例になった私と彼のお茶会が始まるのであった。
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もも(プロフ) - まーぶりんさん» コメントありがとうございます。お褒め頂き光栄です。私自身気に入っていない部分が多い為近々大型修正が入るかと思いますが、それまで今の本作品を楽しんでいただけますと幸いです。 (2021年9月20日 6時) (
レス) id: f920ea46f5 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - 初めて読んだ感じの小説で，凄く面白かったです！続き楽しみにしています！更新頑張ってください！！ (2021年9月19日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もも | 作成日時：2021年9月12日 15時
