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「三年生で転校なんて珍しいね……」
「しかも一人暮らし……受験とか色々大変でしょ！何かあったらすぐに相談してね？」
綺麗な桃色の花弁が雨のように舞い散る、暖かい季節。小さな教室の、窓際の、一番後ろ。ひとつの机に集まって、心配そうに……あるいは興味深そうに声を掛けてくるクラスの女の子達。
「転校生、めちゃくちゃ美人だよな〜……」
「黒髪ストレート……正に大和撫子！って感じ！転校前はイタリアに居たらしいぜ〜？帰国子女ってやつ！」
何の変哲もない、公立中学校の三年クラス。教室内外問わずに注目を集めている転校生──それが、私。
「ふふ……ありがとう。困ったことがあったら、遠慮なく頼らせてもらうわね」
ふわり、と紫色のリボンを揺らして笑顔を浮かべれば、女の子達は口々に可愛い、綺麗、と言ってくれる。
初めての日本で右も左も分からない私にとっては、皆が転校生である私をクラスに受け入れてくれたみたいで安心できた。
「ねぇ、転校前はイタリアの中学校にいたんでしょ？イタリアってどんな感じなの？」
「何部に入るの？よかったら、私の部活に是非…！」
「イタリアはとっても綺麗なところよ。部活は……まだ決めてないわ。運動は少し苦手だから……文化部に入ろうかしら」
私のほんの一言だけでイタリアの風景をふわふわと想像し、素敵！行ってみたい！と話す女の子達。
それに続けて大人しそうな女の子達が、美術部や吹奏楽部──文化部の宣伝を私に向かってしてくれる。
始業式を終えた後の騒がしい教室。こんな私に構ってくれる彼女達が本当に可愛らしくて、つい笑みが零れてしまった。
「うふふ……そんなに焦らなくても私は逃げないから、とりあえず席に着きましょう？」
ちらり、と困ったようにこちらを見ている大人しそうな女性の先生に微笑みかける。女の子達はびくりと肩を震わせ、また後でね、と手をひらひらさせて自分の席に着いた。
ふと、窓から外の景色を見る。綺麗な花を纏うこの大きな木は『桜』というらしい。桜の花が雨のように降り注ぐ様子を見ながら、私は目を細めた。
「……大丈夫かしら、私」
自身にこの国の血が混じっているとはいえ、訪れたことも無い異国の地。不安と期待に胸を躍らせながら、肘を着いて黒板の方を向いた。
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もも(プロフ) - まーぶりんさん» コメントありがとうございます。お褒め頂き光栄です。私自身気に入っていない部分が多い為近々大型修正が入るかと思いますが、それまで今の本作品を楽しんでいただけますと幸いです。 (2021年9月20日 6時) (
レス) id: f920ea46f5 (このIDを非表示/違反報告)
まーぶりん(プロフ) - 初めて読んだ感じの小説で，凄く面白かったです！続き楽しみにしています！更新頑張ってください！！ (2021年9月19日 17時) (レス) id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もも | 作成日時：2021年9月12日 15時
