47話 ページ13
…と、前回なんかカッコつけて『逃走劇の始まりである』なんて締め方をしたのだが。
「(…全く隙がないですね!)」
全然進めない。
長い銀髪を纏めて器用に帽子にしまい、背丈に合わない長外套を部屋にあったベルトで括り上げたAは、物陰で頭を抱えた。
厭、何もここまで戦力を総動員すること無いだろうに。
仕事しろよマフィアとAは云いたいところだった。
「(うぅ…あんまり目立って中也さんとか紅葉さんにバレると面倒なんだけどなぁ…
…やっぱ強行突破かぁ。気は進まないけど)」
ここは廊下だ。
物陰にいるからといって、何時までもここに留まっていては見付かるのも時間の問題だろう。
Aは低い姿勢のまま床を蹴り上げた。
「…おい今何か…ぅぐっ!?」
「…あ、お、お前は!…うぉ!?」
「ごめんよー貴方たちに個人的な恨みはないんだけど」
Aは黒服達の急所…ではなく、右腰辺りに蹴りを叩き込んだ。
続けざまに鉢合わせた男達も同じように右腰辺りを蹴り上げると、それ以上手を出すことなく下り階段に向かって疾走した。
「ってぇ…おい誰かそいつを捕まえろ!」
「捕縛対象を確認!幹部に連絡を…あっ」
連絡を取ろうとした黒服は、無線を手に持って固まった。壊れている。
Aの狙いは彼らの動きを封じることではなく、腰元の無線機だった。
いくら中也に育てられたからとはいえ、男女では体の造りが違う。
Aの一撃は軽いため、手数で稼ぐ戦い方をするので、大勢を一度に、ましてや逃げながら戦うのは向いていなかった。
異能を使えば振り切って逃げるのも無理な話では無いが、今使うと誰かを殺してしまう可能性を否定出来ないので、それも得策ではない。
一方で、身軽な身体が幸いして素早さのステータスは飛び抜けている。
そのためAは、連絡手段だけを奪って逃げることを選んだのだ。
もっとも、これも単なる時間稼ぎにしかならないが。やらないより善いだろう。
見付かった構成員の無線機だけを器用に破壊し、Aは階段をかけ降りた。
兎も角一階まで降りれば、窓からでもなんでも逃げ出せる。
はず、なんだけど。
「…ッ気付かれたか」
ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー
夢主ちゃんの座右の名を考えたのですが、
『考えるな、感じるな』ってのはどうでしょう?特に深い意味ありませんが。
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ちょっとすごいしじみ(プロフ) - コメント欄から失礼します。そーっと帰ってきました(小声)。だいぶ時間が出来たので、今まで書き溜めたシーンを繋げてゆったり投稿を再開します。どうか気長にご覧いただけると嬉しいです。 (2020年12月25日 23時) (レス) id: da54526cc7 (このIDを非表示/違反報告)
しらゆき - 更新待ってます! (2020年5月9日 3時) (レス) id: 5efd194ceb (このIDを非表示/違反報告)
ちょっとすごいしじみ(プロフ) - 流界さん» 大変遅くなりましたが帰って参りました。ダラダラ更新になってしまうと思いますが皆さまに楽しんで頂けるよう精進して参りますので今後もよろしくお願いします。 (2018年5月1日 23時) (レス) id: da54526cc7 (このIDを非表示/違反報告)
流界(プロフ) - 初めまして!僕この作品大好きなので応援してます!!更新頑張ってください!(*´ω`*) (2018年4月17日 21時) (レス) id: ff8d2998f0 (このIDを非表示/違反報告)
サクサクしないクッキー - 14巻買ったんです!いやもうヤバすぎて爆転思想。 (2017年12月11日 14時) (レス) id: 49815f1b74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:@ちょっとすごいしじみ@ x他1人 | 作者ホームページ:http://asdfghjkl
作成日時:2017年11月9日 19時