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43. ページ43

「久しぶり、硝子」

「え…急にどうした?珍しいな?」






寮に戻り、硝子の部屋を訪れると、既に部屋着に身を包んだ硝子が出てきた。






「今日はこれ渡しに来ただけ」






そう言って紙袋を三つ差し出すと、硝子はそれと俺を交互に見比べ始める。





「…これ、まさかバレンタイン?参拝方法も知らなかったあのAが…」

「お前そのネタ好きだな。…とりあえずこれ、3人分。悟と傑にも渡しといて」





受け取れ、という圧を込めてずいっと硝子の顔の前まで持ち上げる。





けれどいつまで経っても受け取る様子がないので、俺は一度紙袋を下げた。




「何?」

「いや、あいつらの分は自分で渡せばいいじゃん」





硝子の返答を聞いて、受け取ろうとしなかったのはそういうことか、と一人心の中で納得する。






「俺、明日からまたしばらく高専戻ってこないからさ」

「今から渡してくれば?」

「…今?でももう2人とも部屋に…」






高専は学生が少ない上に任務がある為、部活動というものがない。


だから授業が終われば硝子みたいにこうして自室に戻るか、街に出るかの大体どちらかだ。







今日はもう日も暮れているし、2人とも部屋へ戻っている可能性が高いのだが…。









「部屋まで届けに行ってくればいいじゃん」




あっけらかんと言ってのける硝子。







(…いや、性別を隠してたとはいえそんな軽々しく異性の部屋を夜に訪ねていいものなのか?)






頭を悩ませる俺を見て何を勘違いしたのか、硝子がニヤッと笑って口を開く。






「寂しがってたよ、2人とも。特に悟な」

「絶対嘘だろそれ…。まぁいいや。じゃあこれ、硝子の分」







俺は硝子に紙袋を一つだけ渡し、男子寮へ向かう。

そんな俺の背に向かって硝子が小さく手を振った。






「いってらっしゃーい。









………悟と仲直りできるといいな」









最後の言葉は、俺まで届かなかった。

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Blue Berry(プロフ) - 雪マカロンさん» コメントありがとうございます!!面白いと言っていただけて感謝しかありません…!これからも精一杯頑張らせていただきますね! (2021年4月15日 19時) (レス) id: 734c250f2d (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - 初コメ失礼します!とても面白い作品で、一気に読んでしまいました。更新頑張ってください! (2021年4月14日 19時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
Blue Berry(プロフ) - 夜空さん» いつも読んで下さってるんですね!ありがとうございます!今後も毎日2話更新できるよう頑張りますね。 (2021年3月25日 9時) (レス) id: 734c250f2d (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - いつも楽しみく読ませてもらってます。更新楽しみにしてます頑張ってください (2021年3月25日 6時) (レス) id: 51f6c9b5da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Blue Berry | 作成日時:2021年3月24日 20時

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