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正月から数週間経っても、Aの様子は変わらなかった。
なんならこの一週間、あいつは教室に来ないどころか校内で一度も姿を見せていない。
「最近は部屋にも戻ってないみたい」
俺と傑が教室でAの話をしていると、硝子が混ざってきて教えてくれる。
声色はいつもと同じ、少し眠たげな声なのに、その瞳には薄っすら心配の色が浮かんでいた。
「金で困っているなら、私や悟を頼ればすぐに解決できそうだが…」
「だよなー。俺らを頼れない理由があるってことか?」
「それよりお前らだいぶクズ発言してることにそろそろ気付けよ」
最近はもっぱらAの話題ばかりで、3人であれこれ予想してはどれも現実味がなかったり、アイツらしからぬものだったりで、話が進まない。
所謂迷宮入り案件。
「だいたいアイツ自分のこと話さなさすぎなんだよ。アイツの趣味とか誰も知らねーじゃん」
「そもそも去年までこちらに関わってこようとしていなかったからね。知らなくて当然だと思うが」
「仲良くなったからって、人に自分のこと話すタイプでもなさそうだしねー」
今日も今日とて昼飯を食べ終えた俺たちは、いつものようにAの話を始める。
「あ”ー…、色々考えてたら甘いもん飲みたくなった。ちょっと買ってくるわ」
「買ってくるって…悟。もう授業始まるぞ」
「先生に腹下したって言っといてー」
後ろ手で手を振って、俺は教室を出た。
教室からかなり離れた場所に設置されている自販機へ向かっていると、視界の端に見覚えのある人影が。
(―――――Aっ!?)
1週間ぶりに見るAの姿は、遠目からでも分かるほど憔悴していて。
教室がある建物とは全然違う場所へとおぼつかない足取りで向かうAの後を、咄嗟に追いかけた。
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Blue Berry(プロフ) - 雪マカロンさん» コメントありがとうございます!!面白いと言っていただけて感謝しかありません…!これからも精一杯頑張らせていただきますね! (2021年4月15日 19時) (レス) id: 734c250f2d (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - 初コメ失礼します!とても面白い作品で、一気に読んでしまいました。更新頑張ってください! (2021年4月14日 19時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
Blue Berry(プロフ) - 夜空さん» いつも読んで下さってるんですね!ありがとうございます!今後も毎日2話更新できるよう頑張りますね。 (2021年3月25日 9時) (レス) id: 734c250f2d (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - いつも楽しみく読ませてもらってます。更新楽しみにしてます頑張ってください (2021年3月25日 6時) (レス) id: 51f6c9b5da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Blue Berry | 作成日時:2021年3月24日 20時