65話 ページ16
Aside
物陰から現れたのは紛れも無い彼奴_憎き自分の父親だった。
其奴はとにかく気持ち悪い笑みを浮かべていて、こんな奴を慕っていた昔の自分を鼻で笑ってやりたい程だ。
「_流石私の息子だ。」
_煩い。
「……先程から殺気が漏れ出しているが……そんなに私が憎いか?」
『……嗚呼、そりゃもう今すぐ殺してやりたいぐらいですよ?』
_異能力、影月
俺はこの異能が嫌いだ。
拒否反応を起こすように、胸がヅキヅキと痛む。
心の中の僕がもう辞めてよと言っているように。
生憎だが、俺はこの異能で何人殺めたか覚えていない。数え切れない程殺めた。
あの日以降、僕は俺に問いかけ続けていた。
“君は何がしたいの?”
勿論、偽物の自分に耳を貸す程俺は優しくはない。
僕は弱い俺を隠すために演じている俺なのであってその他はなんでもないんだから。
“……僕の事、捨てるんだ。”
_この耳鳴りはきっと気のせいだ。
『……もう用済みだよ。今までありがとう。』
未だにしがみついて来る彼の手を、俺は心無く振り払った。
『_バイバイ。ボク。』
さぁ、今決着の時だ。
胸の痛みが収まる代わりに、何かを失った気がした。
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あずき(プロフ) - 晋陽さん» ありがとうございます! (2017年6月25日 11時) (レス) id: e1f21a4d38 (このIDを非表示/違反報告)
晋陽 - 続編おめでとうございます!これからもがんばってください! (2017年6月25日 10時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あずき | 作成日時:2017年5月18日 1時