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彼とさよならするのは
わたしにとってなにより辛かった。

大切で、特別で。
かわいくて、熱くて、頑張り屋さんで。

でもイジワルで、めんどくさがりで、歌が下手くそで。

嫌なとこもたくさんあるけど、
彼の腕の中は安心した。

悲しいこともどうにもならないことも悩みごとも
ぜんぶぜんぶどうでもよくなって、
わすれられる、わたしにとっては最高の場所だった。


留学が決まったとき、
彼はよかったね、おめでとう!って言って笑った。
頑張っておいで、って私の背中を押してくれた。

でもわたしは素直に喜べなかった。
彼が隣にいない世界はつまらないから。
自分の未来のために留学に行く、それは変わらないけど、彼のそばにいたい気持ちだってあった。


だけど彼も、
いまから就活と戦わなきゃいけない、
就活がおわったら今度はワーキングホリデーに
海外に行くって話し始めた。

生きていくために、将来の安定や夢や成功は何より大事。今はお互い将来のために頑張る時なんじゃないか、って。


そしたら、
さよなら、は必然になった。

お互いにしたいこと、しなきゃいけないことを1番に優先する。そしたらお互いの未来に、お互いがいなくなっちゃったんだ。


わたしの想い描く未来には、
わたしのドジに笑って、わたしの歌に歌手みたいって褒めまくって、おいでって言って私を抱きしめて、笑顔になるわたしを見て幸せそうって自慢気な顔をして、そんで、すぐ終電逃して泊まりにくる彼がいた。

さよならしなくても細々と繋がっていれば
いいんだと思う。

だけど彼の未来には、わたしはいなかった。

お互いが想い描くところにお互いが存在していないなら、意味がない。



新しい世界はどうも生きにくい。
毎日学校に行って帰るだけで精一杯。

1日がおわって家に帰るともう何もしたくなくなってベッドに身を投げ出す。

目を閉じるとたちまち夢の世界に引きづりこまれる。毎日現れるのは彼。

前よりずっと大人っぽくなってキリッとした顔になった彼なのに、私だけがなにも変わらない。
またドキドキして好きになる、そんな夢。

昨日は一年後、戻ったわたしがゼミに顔を出すと
彼が友達にわたしへの手紙を託していて、その手紙にはわたしとの未来のことが書いてある、というなんとも未練がましい夢。

総じて、わたしはまだ彼への想いを断ち切れてないってこと。

あれから連絡をとってない。
彼にとって私はなんだったんだろう。いつになったら忘れられるんだろう。

3→←新しいわたし。



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作者名:meeeta. | 作成日時:2017年6月13日 14時

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