なにもない誕生日 ページ13
わたしは22歳の誕生日を大好きな彼氏と迎えるはずだった。
サプライズでとびきりオシャレなディナーをたべにいって、夜景をみて、2人で綺麗だねって笑い合う。
おうちに帰って、用意してくれてたバースデーケーキをひろげて。
真っ暗になった部屋に2人の顔が浮かびあがって、私が喜ぶ姿を優しい顔してみてる彼に、幸せを感じながらふーーってろうそくを消す。
パッてついた部屋の明かりと一緒に、彼がかわいいブーケを持って現れて、嬉しくて嬉しくてたまらない。
そんな22歳の誕生日を迎えると、
来年こそはそんな誕生日が来るだろうと思っていた。
なのに、また今年もはずれた。
ちっとも叶わないじゃん。
今年こそは、来年こそは、って
願って願って、楽しみにがんばってきたけど
いつまでたっても私が叶えたい誕生日を彼氏に祝ってもらう、という願いは叶わないままだ。
もうそろそろ願うのも嫌になってきている。
事もあろうに、今年は大学の授業が夜8時まであるときたし、どこにいこうにも誰をさそおうにも中途半端すぎて何にも動けていない。
下宿中の私は、家族と過ごせないし。
挙句、まわりはみんな就活生ときた。
私の22歳の誕生日の夜はどうやら寂しく、ひとりぼっちらしい。
ちなみに今日は友達の誕生日を祝ってきた。
私の誕生日には彼氏と遊ぶ約束があるらしく、断られてしまった。
薄情もの!!と怒りたかったが、本日の主役が楽しめなくなるのは一番いけないことだし、と
ぐっと堪え、かわりに心の中で暴れておいた。きっとみえるわけないのだから。
でも今度は悲しくなってきた。
同じ誕生日、
彼氏にも家族にも友達にも祝ってもらえる22歳と
彼氏もなし、家族は遠い、友達は予定合わないぼっちの22歳。
私が一体、なにをしたっていうんだろう。
なんで私はいつもいつもこんな風に!!!
私はなにもない日常で、周りのみんなに大切にしてもらってる。だから自分がそれでも不幸だなんて全くもって思わないし、
日常か、誕生日みたいな特別な日に、大事にされるのか。どっちがいいとか、どっちが幸せとかそれは測るものでもないし、そんなつもりもないけれど。
どうしても、誕生日という特別な日にこだわりがあるんだもん。
こうもうまくいかないと、悲しくなっちゃう。
21歳の終わりがけ、年甲斐もなく
静かに涙で枕を濡らした。
どうせ私は…
なんて呟いたりして。
9人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:meeeta. | 作成日時:2017年6月13日 14時