綾野さんち。01

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「春からドラマでその顔合わせ。また忙しくなるみたい。」


映画でもドラマでも、剛くんは役に入り込みすぎる。だから同時進行での撮影は一切やらない。一つの役を、その瞬間を、生きている。


龍「心配そうな顔！」


「あー、ちょ！髪の毛崩れる！」


せっかく朝セットしたのにくしゃくしゃに撫で回される。


龍「でも、あの人いてくれて本当によかった。一時期のAは見てられなかったもん。」


両親を亡くしてすぐに剛くんと同居を始めてから今でちょうど半年くらい。3ヶ月頃までは、じわじわと虚無感が襲ってきてご飯は食べなければ執筆もろくにしていなかった。

ずっと、剛くんに支えられてきた。



龍「まあ、心配なのはわかるけどね。剛さんって早死にしそうだよね。」


この男は恐ろしく察しがよく、そしてオブラートがないようだ。


「…だよねえ。」


龍「ちゃんと見ててやんなよー？まあ、俺より年上の男に向かってちょっと失礼かもだけど(笑)」


ちょっとじゃない。だいぶだ。


「ちなみにeyeの演者さんは？」


龍「主演の夏輝(ナツキ)と冬弥(トウヤ)はオーディションになりそう。陽(ヒナタ)はね、二階堂ふみちゃんに決まりそう。」


臆病で内気な夏輝と喧嘩っ早い冬弥は正反対の性格ながらも幼馴染で生まれた頃からずっと一緒にいた。陽もまた、そんな二人と一緒に過ごしてきた。

天真爛漫で底抜けに明るい陽。二階堂ふみさんにぴったりだ。イメージ通り。


まあ今回は高校生の話だし…。


龍「剛くん出られなくて残念だね？」


「…なんで！？」


龍「顔に書いてあるよー(笑)」


「ちょ、いひゃい…！」


ほっぺたぐにぐにとつままれて、ケラケラと笑う龍平さん。…そんなに顔に出てたかなあ。


まあ、いつかは、私が原作で剛くんが主演って見てみたいけど…。

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